君は僕たちのプリンセス 【雪男】IV

忘れん坊にはお仕置を ページ43

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「ひーくん、なんで二輪の免許取ったの？」




今日は二人きりのテレビ出演で、メイクまで時間があるからってバイク雑誌を読んでいるひーくん。

そういえばこの前、二輪の免許取ったって話していた事を思い出し聞いてみると。


雑誌からひょこっと視線を上げたその目は何だか不服そう。




「…覚えてねえの？」

「え、なにを？」

「はあ、マジかよ」



大きな溜息を吐きながら雑誌をわきに置いて、長い足を組み替えた。

ライダースジャケットなんて着てバイクに乗ったひーくんを想像したら、ああカッコよすぎってちょっと顔がニヤけちゃう。



「昔さAがよくケツに乗せてくれてたじゃん。今じゃあ俺も毎日車で職場来るから乗ることなくなったけどさ、三年くらい前に乗せてもらって展望台登ったの覚えてる？」

「ああ、うん。覚えてるよ」

「そこでAが、"ひーくんとツーリングできたら最高だろうな！"なんて言うからじゃん」

「え、そんな事言った？」

「あー、もういい！」




うわわっ、どうしよ！
ひーくんが拗ねモードに入った。


見た目も中身も男らしいひーくんだけど、意外と繊細で乙女っぽさも持ち合わせたギャップボーイなのですよ。



特にね二人きりともなると、いつもはリードしたがる癖に、年下らしく甘えたさんになったり、こうして拗ねたりもする。




「ひーくん、ひーくん、チョコあるよ！」

「要らねぇ」

「うむむっ」



腕を組んでフンってしちゃってる。


うーん、ひーくんを後ろに乗せて走った事は何度かあったけど、そんな事私言ったのかな？


でも言っていてもおかしくはない。


今だって免許を取ったと知って、二人で走りたいとウズウズしてるくらいだもん。




「ねえ、忘れてるのは悪かったよ。謝るからこのとーり！ ね、機嫌治して？」


ひーくんの座っている隣へ移動して、パチンと手を合わせて必殺小首をコテンの上目遣い。

ちらっと私を流し目が見つめる。


うん、かっこいいね。



「チョコちょーだい」

「え、チョコ？ あ、うん待ってね」



テーブルにお好きに食べて下さいと用意されたお菓子たちの中からチョコを一つ取ってひーくんに渡す。


でもじっと見るだけだ。



「ひーくん？」

「咥えて」

「え？」

「Aが咥えて」




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