影の少女はホグワーツの広報員です。 (ページ3)

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「……い、おーい。」
朦朧とする意識の中、私は何かに呼びかけられるのを感じた。

「何？」
意識が覚醒する。
周りは真っ黒な空間で、目の前にぼんやりと白く光る人影が見えた。

「君は影の少女？」
光に目が慣れ、だんだんと人影の輪郭がはっきりとし始めた。
白い短髪に、金色に光る目。高い鼻に薄めの唇。俗にいう美青年というやつだ。別にその特典は私には全くと言っていいほど作用しないが。

「さぁ、何の事？あなたは？」
私は聞いた。

「うーん、なんと言えばいいかなぁ。死にかけの人を現世に留めるか、黄泉に連れて行くかを決める仕事をしてる、まぁ精霊みたいなものだよ。金目って呼ばれてるんだ。みんな金色の目をしているから。」
金目は言った。

「で、何？死なせるならさっさと死なせれば？この状況じゃ、生きてるのも苦痛だし。」
私は投げやりに言った。

「確かにそうなんだけどさ。君に提案があってね。……魔法界に行ってみない？」
金目は言った。

「はぁ？」
私は首を傾げる。そして体が自由なことに気がつく。

「うん。今、君の魂と体は分離している。僕が接触してるのは魂の方。周りに檻はないよ。」
私の考えを読むかのように、金目は疑問に答えた。

「君は、さ。ちょっと不思議な精神の持ち主なんだよね。主観より客観が優れていて、常に一歩引いて社会を見てて、闇にはもちろん、光にも染まらない。どちらにも転じることができる立場をずっと保持できる。常に中立で、孤高な精神なんだ。僕たちはそのような精神を影と呼んでいる。そして、君はその精神を持つから影の少女だ。」

「魔法界っていうのはこの世界の並行世界みたいなもので、表裏一体の存在なんだけど、今は物事の見方を偏りすぎたせいで腐敗が激しい。中立な君に最も腐敗している魔法社会を正してもらおうと思ってね。君の寿命は、まだ尽きるべきじゃない。今の状態なら、魔法界に送れるんだ。……ただ、体も一緒に送らないといけないから、檻ごと送ることになるんだけどね。」
金目は言った。

「別に構わないけど、そんなことしていいの？並行世界から人を送るなんて逆に向こうの社会を混乱させるだけじゃない？」
私は言った。

「それは、大丈夫だよ。影の精神の持ち主は適応できるから。」
金目は言った。どういう意味だか、私にはさっぱりわからない。

「影の少女さん、君はまだ生きるべきだよ。向こうの世界に行ってでも。」
金目は言った。霞んで行く金目の姿。

そして、視界は反転した。