プロローグ ページ1
「あー、今学期も終わった……。」
はじめまして、私は日下部A、高校3年生。苗字の読みはクサカベ。うん、ちょっと珍しいかな。
近づいてくる大学受験に焦っている極々普通の高校3年生。
今日は終業式、1学期が終わったところ。
明日からは嬉しい嬉しい夏休みのはずなんだけど……。
「ああ、勉強しないとなぁ……。」
思わず溜息をつきたくなる。
高校3年生の夏休みなんて、勉強以外に何もないよ？現役生が伸びるのは3学期に入ってから、とは言われてるけど、今回の模試の志望校判定はC。せめてB判定が欲しかった……。
要するに夏休みで巻き返さないとヤバイわけで。
だから溜息をつきながら、そしてキツイ真夏の西日を浴びながら、帰り道をトボトボと歩いてるところ。
ザッという音がして、車が止ったけど、逆光でよく見えない。まぁ、私に用事があるなんてわけないよなぁ……って思っていたら。
『バチッ』
全身にに電流が流れ、一瞬神経が麻痺して動けなくなる。
そして、そのまま車に連れ込まれた。
「ちょっと、何！？」
逃げようと車のドアを開けようとする。
けれど首に腕が回され、首を絞められた。
意識が落ちた。
再び目を覚ました時、私は薄暗い空間で檻の中にいた。
足を伸ばそうとするが、伸ばせない。
体を折り曲げてギリギリ入るような、そんな小さな檻に、私は入れられていた。
「お目覚めかな？」
男の声が響いた。
「あなたは誰？」
私は聞いた。
「知ったところで意味はないだろう。お嬢さん。」
男の血走った異様な目、嘲る口元、むさ苦しい顔。嫌悪という嫌悪を呼び起こさせる男が、私を檻に閉じ込めていた。
「何が目的なの？」
再び私は聞いた。
「女の子が発狂するのが見てみたいたいんだ。君はまさにうってつけだったよ。一人暮らしで、近くに親族がいなくて、学生で、今から夏休みで。受験生だから部活もない。……誰も君がいなくなったことには気がつかない。」
最後の部分を声を潜めて意地悪く男は言った。
「
私は呟いた。
「よくわかったな。そうだ。この拷問器具の名前を知っている君なら、結末もわかっているだろう？……もうそろそろ、行かないとな。」
そう言って男は出て行こうとする。
「どこに行くの？」
私は言った。
「どこって、仕事さ。……君のことは監視カメラで見ているから。あと、その檻、某物語と違って頑丈だから、逃げれないよ。」
薄ら笑いを浮かべ、男は出て行った。
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作者名：Editor | 作成日時：2017年6月30日 14時
