君とカフェモカ ２

キミの好きなトコ　（１ ページ5

*

　Aとアパートの前で別れて家に帰るタクシーの中、今日あった出来事を振り返っていた。

　今まで恋愛の経験は数度あるがAのようなタイプの女の子は初めてだ。

　人は他人をこんなにも愛せるなんて知らなかった…

　これ以上、愛せる女はA以外にあり得ない。

　ほんの数か月前、Aと出逢い、いつの間にかAを好きになり、Aに好きだと伝え、Aもオレを好きだと言った―――

　言った？

　言ったか？

　アレ？

　Aはオレのこと好きだって言ったか？

　ハートにLOVEのカフェモカのカフェアートはオレにしか出さないとは言った…

　オムライスに「だいすき」と書いてはいた…

　だけどAの口から直接「好き」とは聞いていない。

「あのヤロウ…」

「お客さん？わたし、道、間違えましたかね？」

「あっ、いや、大丈夫です。」

　おっと―――

　ちょっと悔しくて心の中で呟いた言葉が口から漏れてしまっていた…

　オレしか好きだって言葉に出して言ってないのはなんか不公平だ。

　Aの口からなんとしてでも「好き」と言う言葉が聞きたい。

　焦る気持ちの中、タクシーはオレの家の前で止まった。

　料金を支払い小走りで玄関の中、転がり込むように靴を脱ぎ捨て部屋へ入った。

　ポケットから携帯電話を取り出し、さっき別れ際に交換した携帯番号のボタンを押した。

*

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