君とカフェモカ ２

初めてのXmas　（２ ページ38

*

　イヴの日の朝、早くに目が覚めた。

　今日、店はお休み。

　マスターは毎年イヴは店を休業し家族サービスと称して家族とDランドに行っている。

　毎年あたしにも声を掛けてくれるのだが、せっかくの家族水入らずを邪魔するほど無神経じゃない。

　少し寂しいけど、ひとりで好きなDVDを見るのも楽しい。

　でも、今年のイヴは違う。

　航平とはじめて過ごすクリスマスイヴ―――

　プレゼントにマフラーも編んだ。

　ブッシュドノエルも昨晩仕込んで冷蔵庫の中。

　夕食後のデザートの時間にはクリームもなじんで、しっとり美味しくなってるはず…

　３日前から煮込んでるビーフシチューはトロトロとろけるほど柔らかくなってイイ感じ。

　航平が来る１時間前にオーブンにチキンを放り込んで、その間にカルパッチョを作ればバッチリだ。

　あとは――――――

　あの下着を身につけ航平にまかすしかない…

　そう思うだけで今にも心臓が壊れそうだ。

　静まれ心臓！

　落ち着け、あたし！！


　ピンポーン―――


　ドアを開けると笑顔の航平が立っていた。

「いらっしゃい…」

「こんばんは――――――おっ！いい匂い…これは―――チキン焼いてる？」

　上目づかいで鼻をクンクン鳴らす航平が可愛く見える。

「うん！よく分かったね！？」

「そりゃ、クリスマスはチキンって定番だからな！」

　部屋に入り航平からダウンジャケットを受け取るとハンガーにかけ夕食の準備に取り掛かった。

「オレ、なんか手伝おっか？」

「大丈夫！これは航平へのプレゼントだから、ゆっくり座ってて！」

　立ち上がろうとする航平にそう言うとオーブンの中をそっと覗いた。

　美味しそうな焼け具合。

　お皿に盛り付けテーブルに運ぶ。

「おおっ！うまそう！」

　あたしが作ったモノ全部、嬉しそうな顔して美味しそうに食べる航平を見ると嬉しくて泣きそうになった。

　ただそれだけで、あたしは幸せだよ…航平―――


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