君とカフェモカ

えぴそーど　１８ ページ18

*
　ユウキが店に来た夜、あたしは先輩の携帯に電話した。

　先輩がユウキの気持ちを知って、あたしに会いに行けと言った事は本当だ

った。

　先輩はどんな気持ちでここに来たのだろう…

　それを思うと胸が潰れそうなくらい痛くて辛い。

　ポツリ、ポツリと思いだしようにしゃべる先輩の声が震えていた。

　これ以上、電話で話していると、お互い泣いてしまうからとメールするこ

とになった。

　先輩は、あたしが卒業式の日、ユウキに告白したことを知っていた。

　そして、ユウキがあたしを振った事も全部知っていた。

　あたしを通じてふたりとも顔見知りだったけど、あたしが家を出たことで

急速にふたりの仲が近付いていったそうだ。

　ふたりが付き合うようになって間もなく先輩はユウキの心の中にあたしが

いる事に気付いたらしかった。

　それでも先輩は優しいユウキが好きだったから気付いてないフリして今ま

で来たそうだ。

　今回、あたしに会いに来たのはユウキの気持ちと、あたしの気持ちを確か

めるためだったと教えてくれた。

　先輩は何も言わなかったけど、あたしの心の中にユウキがいない事を知っ

てきっと安心して帰る事が出来ると思う。

　早くユウキがあたしのことなんか、きれいさっぱり忘れて、ふたりが本当

の恋人同士になってくれるようにと心の底から願った。

　明るい先輩の事だからユウキのことも笑い飛ばして元の鞘に戻ってくれる

はず…

　そう思わなければあたしは前に進めなくなってしまいそうだ…

　大丈夫、ふたりは大丈夫―――

　そう何度も自分に言い聞かせた。


　先輩からの最後のメールにはこう書かれてあった。

『ユウキが、お店にいた男の人、内村航平だったって言ってたけどホント？』

　さて、返信メールはなんて送ろうか―――

*

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