君とカフェモカ

えぴそーど　１４ ページ14

*
「先輩！久し振り〜！！」

　待ち合わせで有名な公園の入り口で約束していた先輩を見つけた。

「キャ〜！A、元気してた！？３年振り？A、全然変わって

ない！安心した！！」

「先輩は相変わらず綺麗でカワイイなぁ！」

「もうっ！嬉しいこと言ってくれちゃって！！」

　３年の歳月を感じさせないほど先輩との会話は楽しく弾んだ。

「あれ？彼氏さんは？一緒じゃないの？」

「うん、今、そこのお店に飲み物、買いに行ってる…」

　先輩に彼氏も一緒だと聞いていた。

「A、久し振り！！」

　背後で聞き覚えのある声がした。

「ユウキ！？」

　振り返ったそこにはユウキが立っていた。

　何故ここにユウキがいるんだ？

　手には飲み物が３つ…

　もしかして先輩の彼氏ってユウキだったの？

「黙って行っちゃったから淋しかったんだぜ…A、元気か？」

　相変わらず優しいユウキ…

「元気だよ！ユウキも元気にしてた？」

「おう！スゲー元気！！むこうのみんなも元気にしてるし、Aの事、心

配してたよ…」

　家出同然に友達にも何も言わずに出て来てしまった事を申し訳なく思った。

「先輩？―――彼氏がユウキだって、なんで教えてくんなかったの？」

「ちょっと、ビックリさせようかと思って…」

「ビックリしたどころじゃないよ！ユウキは親友だって知ってるくせに…」

「ゴメン、ゴメン！でも、ドッキリ大成功でしょ！？」

　ドッキリどころじゃない！心臓、口から飛び出すかと思った…

　実家を飛び出し３年、無我夢中で暮らしてきて、ユウキのことをすっ

かり忘れてしまっていた自分に気付いた。

　あんなに辛くて悲しかった日々はどこに行ってしまったんだろう…？

　アノ人と出逢ってからのこの２カ月間、カフェアートの練習に没頭し、毎

日が充実していたせいなのか毎日が楽しくて仕方なかった。

　この街に、マスターに拾われた３年前のあたし―――

　あの頃のあたしは影も形も無く、今、楽しくて幸せな気持ちでいられるの

は間違いなくアノ人のおかげ…

　明日も店に来てくれるかなぁ？

　ふと、あの不敵な笑顔が頭の中、浮かんだ。

*

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