No.4 ページ5
※夏油side
”すぐ帰ってくるね”
そう言って教室を飛び出した彼女の後を追えるわけもなく、
ただ私は彼女の香りに心を奪われていた。
今までとは全く違う環境に置かれるこの学校での生活に緊張していた私は、早くに自室から飛び出し、来るべき人達を来るべき時間まで待っていた。
案の定私が1番最初に教室についていたので、早くなる鼓動を落ち着けようと何度も深呼吸をしていれば、
ガラガラっと重たい音を立てて開かれた扉からは予想もつかない人物が立っていた。
華奢な体つきで、身長が高いわけではないがスタイルがいい彼女に、言葉通り見惚れてた。
「おはよう」
考えるよりも早くに出ていた言葉がそれでよかったと安堵しつつも、その後彼女と話した内容など頭から全て抜け落ちている。
彼女が動くたびに香る匂いはなんとも形容し難いいい匂いで、彼女の香りに心を奪われるだなんていい言い方をしている自分が情けなくなるほど、魅了された。
この後彼女が教室に戻ってきたらどんな話をしようかと思っていれば、また教室に訪問者が。
彼女なわけはないと思っていつつも期待の眼差しを向けてしまっていたのがバレたのか、引くような視線を感じた。
「ねぇそんなに見られてると逆に入りにくいんですケド、、」
と言いながら入ってきた人物は、先ほどの彼女とは正反対というような雰囲気だ。
私と同じように制服を着こなし、タイトなスカートに黒タイツ。
アレンジしていない制服はこんなものなのかと感心してしまう。
タッタッタと足音を立てて教室へ入ってきたかと思えば、1番窓際の席に荷物を置かれる。
「私は夏油傑、よろしく頼むよ」
避けられるのだけは勘弁してくれ、と冷や汗を流していれば目の前の相手は「家入硝子」と名前を吐いた。
あまり人と仲良しこよししたくないタイプなのかなと思いつつ、苦笑いをこぼせば、ほのかに香るタバコの匂いが鼻につく。
あの香りを忘れることはできないな、と思いながら教室に近づいてくる足音に視線をやる、
二つの重なる足音
「いいからお前が先に教室入れよ」
『だからお前じゃないって言ってるじゃん、!』
ずきりと胸が痛んだ。
入ってきたのは案の定、彼女ともう1人の一年生だった
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後輩(プロフ) - 雪菜さん» ご指摘ありがとうございます。気づけていなかったので助かりました! (8月22日 3時) (レス) id: 5118fb11d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - オリジナルフラグつけたままですよ!ルール違反になってしまいます。 (8月22日 3時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:後輩 | 作成日時:2023年8月20日 15時