No.2 ページ3
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私の担任の先生は夜蛾正道さん、なんともいかつい風貌である。
自室に荷物を運び、真新しい制服に腕を通す。
黒が基調の、品の良いマリン風のワンピース。
「好きなようにカスタマイズして良い」とは言われたけど、ここまで制服って変えて良いものなのか?と思いつつ
要望したものが届いたのだから良いのか、と納得している。
筆記用具と貴重品を、鞄にそれっぽくつめこみ自室を後にする。
履き慣れたブーサンは母の遺品
ヒールがあるためか、履く度に、母が見ていた世界を見れているような気がしている。
目的の教室の前に着くと、いきなり緊張感に襲われ、そっと深呼吸をして扉を開く。
意を決して開かれたその扉の先には机が四つ用意されていて、その中の一つに人が座っていた。
「おはよう」
素早く私を見つけた彼は、目を細めて笑った。
『あ、おはよう』
緊張とはまた別の何か、胸が跳ね上がる。
彼が座るのは、教卓から見て左から二番目の席
私はどこに座ればいいかわからず、その狼狽える姿をみる彼は、また笑っていた。
「別に好きなところに座りなよ」
優しく包まれるようなその言葉に甘え、私はそのまま彼の右隣に荷物を置く。
『私、美甘A、よろしくね』
勇気を振り絞って差し出した私の手に、彼の手が重なることはなかった。
無機質な電子音が教室に反響する。
『あ、ごめん、私だ』
通知切らないとだね、
とヘラヘラと笑い、スマホを鞄から取り出し、通知を確認してスマホを閉じる。
「夏油傑だよ、よろしく。」
そう言って微笑み返してくれる彼に、また鼓動は早くなった。
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後輩(プロフ) - 雪菜さん» ご指摘ありがとうございます。気づけていなかったので助かりました! (8月22日 3時) (レス) id: 5118fb11d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - オリジナルフラグつけたままですよ!ルール違反になってしまいます。 (8月22日 3時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:後輩 | 作成日時:2023年8月20日 15時