No.14 ページ15
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目が覚めれば午前の授業は終わってしまっていたらしく、ぼーっとした頭を働かせるのには時間がかかった。
硝子はいないし、五条くんもいないし、
でもなんで、夏油くんはいるんだろう。
「おはよう、美甘さん」
チラチラと揺れる前髪に視線が奪われる。
「美甘さんって授業は真面目に受けるタイプの人だと思ってたから、寝ちゃうのは意外だったな。」
少し困ったような顔でそういう彼に、咄嗟に声が出る。
『いやっ、普段はちゃんと真面目にっ』
「昨日も夜遅くて、疲れてたもんね。」
目を細めて笑う彼は、「ちょっと悪戯してみたかったんだよね」だなんて、さらに目を細めて笑ってくる。
その笑顔がすごく暖かくて、気づけばそっと伸びてくる手に体を任せてしまっていた。
『ちょっと、恥ずかしいかも』
夏油くんの手は私の頭を痛くないようにずっと撫でてくれていた。
同級生の男の子にこんなことをやられているだなんて、本当は恥ずかしいはずなのに。
この空間がなんだか心地よかった。
ずっと寝ていたということもあって、もしかしたら夢なのかもしれない。
と考えて目を瞑る。
ふわりと香る匂い。
この手の温もり。
まさか、そんなことはないよね。
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後輩(プロフ) - 雪菜さん» ご指摘ありがとうございます。気づけていなかったので助かりました! (8月22日 3時) (レス) id: 5118fb11d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - オリジナルフラグつけたままですよ!ルール違反になってしまいます。 (8月22日 3時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:後輩 | 作成日時:2023年8月20日 15時