No.10 ページ11
※夏油side
美甘さんが買い物の誘いをしてくれて、仲良くなるチャンスができたと思っていれば、買い物に誘われていたのは私だけではなく一年生全員ということをそのメンツを見て初めて理解した。
流石に入学1日目から2人で買い物とはレベルが高いなと思っていながらも、心のどこかで期待していた私の胸は高鳴っていたのだ。
高専を出て数十分、ようやく最寄り駅までつけば電車に乗り込み、都心の方へと向かう。
電車は比較的空いていたのでみんなで横並びに座っていた。
座席順は端から、私、五条、家入、美甘さんの順番だった。
遠いのは部屋だけにしてくれ、と心の中で思いつつも、近ければこの鼓動が伝わってしまうかもしれないという哀れな気持ちが芽生えてしまう。
意外と電車の中で五条と話してみると気が合い、こいつはクズだけど扱いやすいクズということがわかった。
話をしてわかったことといえば、この買い物の話を持ちかけたのは美甘さんではなく五条からであるということだった。美甘さんと話しをした結果みんなで買い物にいくという話になったらしく、私は素直に「ありがとう」と笑った。
下車をすると2人が言い出したということもあり、先頭は悟と美甘さん
後ろは私と家入が歩くという構図になった。
「街中で、しかも制服で煙草を吸うのはいただけないな。」
「夏油はマジメなんだね、でも知ってるよー、匂いが嫌なだけだろ」
わかってるならやめてくれ、と困る私のことなど知らず、家入に耳を貸せと腕を引かれる。
いったいなんだと思って家入の思うままにしゃがんでみせると、その言葉に不覚にも耳が熱くなった。
「夏油はAみたいないい匂いのする女が好きなんだろ」
「おい」
と小さな声で家入を制するはずが、思っていたよりも大きく出てしまったそれに、前を歩く2人が振り返る。
「なんだよ傑」
『大丈夫?』
振り返る美甘さんの顔をみると一段と顔に熱が集まりそうになって、私は咄嗟に顔を逸らし「大丈夫だよ」とだけ付け足した。
その後も順調に買い物は進み、それぞれが欲しいものをしっかりと購入することができた。
買い物中私は悟と硝子と話すことはできても、あまり美甘さんとは話しをすることができず、
街中ですれ違う人たちが悟と美甘さんをお似合いのカップルだと言ってすぎていくところを眺めていた。
.
398人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
後輩(プロフ) - 雪菜さん» ご指摘ありがとうございます。気づけていなかったので助かりました! (8月22日 3時) (レス) id: 5118fb11d7 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - オリジナルフラグつけたままですよ!ルール違反になってしまいます。 (8月22日 3時) (レス) id: f0574d2f45 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:後輩 | 作成日時:2023年8月20日 15時