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その2【目玉好きな物知り婆】.3 ページ10

『獄都から来たなら遠かったろう。そこに座って茶でも飲みな』


勧められるがままにベッドに腰掛け、出されたお茶を啜る。緑茶だったらしく、若干の苦味が口に広がった。緑茶は口に合わなかったらしく、隣に座った木舌がベェッと舌を出した。


『さて、何が知りたい?あの腐った蛙の事かい?それとも私の事?』

「どちらでもない。俺が知りたいのは」

『七不思議の事、だろう?』


ニンマリと笑う婆。木舌が「そうなの?」と目で問うてくる。斬島はその視線を完全に無視すると、笑う婆を見据えた。


「どうして分かった」

『五日前にも女の獄卒がここに来て、同じことを聞いてきた。いつの間にか消えちまったみたいだけどねぇ』

「女獄卒?」


話を聞いていた木舌が、焦ったように斬島を見た。振り向いた反動で、頰に伝っていた血がポチャンと木舌のお茶に入る。


「ねえ斬島、もしかしてそれってAのことじゃ……」

「ああ」


とにかく今は一刻も早くAを探さなくてはならない。Aの失踪には、七不思議が大きく関わっているに違いないのだ。

斬島は木舌に向かって小さく頷くと、話を本題へと戻した。


「それで、この学校の七不思議というのは?」

『さっきお前は私とあの蛙のことは聞いていないと言ったね?だが七不思議について聞くということは、私とあの蛙についても聞くということになるのさ』

「それってつまり、お婆さんとその蛙も七不思議の一つってこと?」

『その通りだよ。流石私が見込んだ目玉なだけあって、頭も冴えてるみたいだね』

「褒められてるんだろうけど、なんか複雑な気分だよ……」


苦笑いを浮かべる木舌。そんな木舌を見てケラケラと楽しそうに笑うと、婆は話を続けた。

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物部(プロフ) - 面白いです。続きが気になります。更新頑張って下さい! (2016年11月12日 18時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - 夜猫さん» ありがとうございます!リアルが忙しくなかなか更新できなくてすみません(泣)きっと再開しますので!本当ごめんなさい…… (2015年6月19日 20時) (レス) id: 1793c56ba9 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - すごく面白いです!!続きが気になります(>_<)更新再開してほしいですm(__)m (2015年6月2日 3時) (レス) id: 5133e42365 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - ミシェリさん» ありがとうございます!なかなか続きを更新できずに申し訳ありません。気長に待って頂けると嬉しいです(´ω`) (2015年5月12日 10時) (レス) id: f152ab1d97 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェリ - 夢主ちゃんは無事なのでしょうか?凄く続きが気になります。更新頑張ってください! (2015年5月11日 6時) (レス) id: 2f3002f74e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅月 | 作成日時:2015年3月21日 23時

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