その2【目玉好きな物知り婆】.5 ページ12
『さて三つ目だ』
婆は続けて三本目の指を立てた。
『【真夜中に開く人肉レストラン】。
夜中の一時十一分に家庭科室の扉を開くと、幽霊のレストランに繋がるって話さ。
メニューには人肉が使われていて、食うのを断れば殺されて材料にされちまうって噂だが……まあ、真相は見てのお楽しみだねぇ』
「お婆さんは会ったことがあるの?」
『気まぐれに行くことはあるねぇ。ただあの料理長はプライドが高くて、どうもソリが合わないんだよ』
人肉を使うレストランに勤めるプライドの高い料理長……全く想像がつかない。木舌も同じだったようで、「うーん」と首を捻っていた。
婆はその様子を見てケラケラと笑うと、四本目の指を立てた。
『四つ目は【異次元に続く扉】。
ある時間にある場所へ行くと謎の扉が現れて、そこを開けると異次元に連れていかれるって噂さ。
時間と場所は噂によって様々で、ゾロ目の時間に三年二組に行けばいいなんて噂もあれば、零時丁度に体育館の倉庫の扉を開けるなんて噂もある』
「本当はいつ何処に行けばいいんだ?」
『それは教えてあげられないねぇ。人に聞くなり自分で探すなり、頑張りな』
そう素直には教えてくれないらしい。眉を顰める斬島を宥めるように、婆は空になった斬島のお茶を継ぎ足した。
『次は五つ目だね』
婆はそう言うと、右手をパーの形にして見せた。
『五つ目は【一人でに鳴るピアノ】。
音楽室で一人でいると、誰も触っていないはずのピアノが鳴り始めるって噂さ。鳴り終わるまでに音楽室から出ないと死ぬなんて噂もあるが、そんなのは嘘っぱちだよ』
「害は無いということか?」
『当たり前だよ。あのピアノはとある館から学校が引き取ったものでね。館にいた時は長い間使われていなかったもんだから、演奏したくてたまらないんだろうねぇ……』
婆は優しく微笑んでいたが、ハッと我に返ったように笑みを止めると、誤魔化すようにコホンと咳払いをした。
その2【目玉好きな物知り婆】.6→←その2【目玉好きな物知り婆】.4
173人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
物部(プロフ) - 面白いです。続きが気になります。更新頑張って下さい! (2016年11月12日 18時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - 夜猫さん» ありがとうございます!リアルが忙しくなかなか更新できなくてすみません(泣)きっと再開しますので!本当ごめんなさい…… (2015年6月19日 20時) (レス) id: 1793c56ba9 (このIDを非表示/違反報告)
夜猫 - すごく面白いです!!続きが気になります(>_<)更新再開してほしいですm(__)m (2015年6月2日 3時) (レス) id: 5133e42365 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - ミシェリさん» ありがとうございます!なかなか続きを更新できずに申し訳ありません。気長に待って頂けると嬉しいです(´ω`) (2015年5月12日 10時) (レス) id: f152ab1d97 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェリ - 夢主ちゃんは無事なのでしょうか?凄く続きが気になります。更新頑張ってください! (2015年5月11日 6時) (レス) id: 2f3002f74e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅月 | 作成日時:2015年3月21日 23時