君と僕の攻防戦【So.M】 (ページ10)

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ふふ、と聡くんが笑う。

　とくん、とくんと心臓が早くなる。思わせぶりの、天然タラシめ。今が夜で良かった。熱くなった顔がバレずに済むから。

「……ありがとう」

　セットしてもらった髪も、選んでくれたワンピースにパンプスや、イヤリングも。全部全部、魔法のように私を可愛く変身させてくれたけど。

　１番の魔法は、いつだってまっすぐ伝えてくれる聡くんの言葉なんだと、思う。

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「ねーえ！なんでワンピース着ないの!?」

　いつものように聡くんに起こされて、着替えてからリビングに向かうと、私を一目見た聡くんが不満げにそう言った。

「だって、なんか可愛らしいすぎて似合わない気がしたから」

「そんなことないってば！髪だって結んじゃうし」

「それはそれで似合ってるけどさー」と、怒ってるのか褒めてるのかよく分からない事を聡くんが言う。

　あの日２人で出掛けてから１週間ちょっと。１度もあのワンピースに袖を通さない私に、聡くんは毎朝文句を言う。大学にも着ていけるデザインなのに、とかなんとか。

　……それは分かってるし、着ていけば友達もオシャレだねって褒めてくれるんだと思うけど。

　あのワンピースは、今度また聡くんと出掛ける時に着ようって決めていることは、もう少し内緒にしておこう。

▷▶２回戦：君の勝ち。 Next……？