君と僕の攻防戦【So.M】 (ページ7)

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そんな会話をした、１週間後の事である。

「Aちゃーん！起きて！」

「ギャーーッ！」

　昨晩は動画配信サービスで見つけたドラマが面白くて夜更かししてしまった、そんな日曜日のお昼前。

　どデカい声に目を覚ました私は、私を見下ろす聡くんに驚き、条件反射による頭突きを繰り出し、

「おわっと。おはよ、Aちゃん」

「聡くん……おはよ……」

　ひょいっと私の攻撃を交わした聡くんが、ニッコリ微笑んだ。

「聡くん、部屋に勝手に入らないでって」

「それよりAちゃん、起きて！出掛けるよ！」

「それよりって」

　ちぐはぐな会話をしながら、急かされるままベッドから抜け出す。パジャマの私とは反対に、しっかり着替えている聡くんはクローゼットからテキパキと洋服を取り出すと「はい」と手渡す。

「これ今日の服ね。リビングで待ってるから」

「え、ちょっと……」

　早く来てねー！と言って聡くんが部屋を出ていく。なんなんだ、一体。閉められたドアをしばらく眺めていたけど、夢が醒める、という訳でもなく。

　まぁ、いいか。流されるまま着替えて、聡くんの待つリビングへ向かった。

・

　いつも通りの朝食を終え、軽くメイクをしただけの状態で外へ連れ出される。どこ行くの？と訊いても、「まぁいーからいーから！」と聡くんはニコニコしながらはぐらかしてばかり。

　諦めて手を引かれるまま着いていくと、辿り着いたのは美容室。入ったことの無いお店だ。

「松島さん！お待ちしてました～」

「ありがとうございます～！じゃあ、よろしくお願いしまーす！」

　ガラスの扉を開けると交わされる意味不明な会話。お願いします、の声と共に聡くんがトン、と私の背中を押した。あれ？髪切るの私？

　だんだん顔が強ばっていく私に、美容師さんはニコニコしながら「リラックスしててくださいね～」とシャンプー台へ連れて行く。えっ、何が起こってるの？

　ポカンとしていると、あれよあれよと魔法のように髪が切られ、ドライヤーとアイロンがなされ、ついでにメイクも直される。なるほど、アイシャドウはそう使えばいいのか……なんて考えていたら、鏡の前に少し垢抜けた私が映っていた。