君と僕の攻防戦【So.M】 (ページ14)

今日:6 hit、昨日:12 hit、合計:31,663 hit

・ページ14

早く帰って謝らないと、と思うのに、聡くんから「彼女が出来た」なんて報告されたらどうしようと思うと動けなかった。

　こんなんじゃ、聡くんに愛想を尽かされても仕方ないかもしれない。

「……ごめん、聡くん」

　キィ、とブランコが揺れる。気付かないうちに真っ暗になっていた空に、また聡くんに怒られるなぁなんて無意識に考えて、怒ってくれるのかなぁって不安になって、

「──Aちゃん！」

　無意識についた大きなため息をかき消すように、公園に飛び込んできた声。顔を上げると、入口から一目散に走ってくる黒い影があった。

・

「やっと、見つけた……」

「聡くん、なんで」

　いるの、と続けようとしたとき、キッ！と聡くんが私を睨む。

「もー！ほんとに！心配したんだからね！

　Aちゃんの友達に訊いたら授業終わりに帰ったって言うのに、全然帰って来ないし！ LINEも電話も出ないし！」

　ほぼひと息でそう言い切った聡くんの姿に、じんわりと胸が暖かくなる。

　探してくれた。迎えに来てくれた。

　それがとても嬉しくて、無意識に口元が緩んだ。

　一歩近付いた聡くんは、そんな私を見て「なんで笑ってるの!?」と目を見開く。

「Aちゃん！俺は本気で怒って、」

　ギィ、とブランコが軋んだ音がした。私が立ち上がったから鳴った音。