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それから私達は夜明けまで一心不乱に鬼を斬っていった。

まるで、何処にぶつけたら良いか分からぬような凄まじい感情をぶつけるように。


鎹鴉が告げてくれなければ、きっと私達の二人とも黎明(れいめい)に気が付かなかったろう。それほどに、気が(たかぶ)っていた。

山からはすっかり鬼の気配が消え失せた。
どうやら、この山にいた鬼は殲滅(せんめつ)出来たようだ。


私の傍に寄り添うようにして息を整えているしのぶの綺麗な髪を労いの意を込めて撫でると、彼女は目を細めて笑った。その笑みにはかなり疲れの色が滲んでいる。



流石(さすが)に少し疲れたな。
藤の花の家で休息してから帰ろうか。」


「ええ、それが賢明ですね。
それにしても、二人きりで藤の花の家に泊まりに行くのは久々じゃありませんか?」



此方に向けられた菫色の瞳が、何かを期待したような色を宿すのが分かる。

けれど、それに敢えて気付かない振りをしてみろと私の頭に巣食う何者かが囁いた。



「ああ、確かに久方振りだ。
はて、今度はどんな夕食を用意して下さるのだろうか。しのぶは何だと思う?」



至って短く、かつ簡単な返事をしてから他の話題に移すと、予想通り彼女はムスッとした表情になった。



「もう…それ、絶対わざとですよね。」



今度はジトッとした瞳が私を射抜く。

コロコロと変わる表情が実に可愛らしくて、思わず吹き出すと軽く小突かれた。それすら照れ隠しでしているのが分かるものだから、益々頬が緩む。



「あははっ、ごめんな、しのぶ。
お前がこう何とも愛らしいものだから、つい。」



「そんな言葉で誤魔化されませんよ。
全く、Aはいつもそうやって、」



「悪かった。どうか許してくれはくれないか。
私の御姫(おひい)様。」



彼女の言葉を遮ってそう言い、柔らかい桃色の唇を奪うと、今まで白かった頬が一気に紅に染まった。


くさい台詞だとは自覚しているが、これが意外にも鬼殺隊の女性隊員(主に蜜璃)や蝶屋敷の子達に高い評価を受けている。


しのぶもまたその中の一人であることは既に把握済みだ。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 胡蝶しのぶ , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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天霧(プロフ) - とても面白いです。続きが気になります。更新待ってますので頑張ってください (2021年9月28日 14時) (レス) @page12 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
電車 - 神☆(`∀´)♭ (2019年11月24日 23時) (レス) id: 55820afc03 (このIDを非表示/違反報告)
茶トラ丸(プロフ) - イエイエ!さん» お褒め頂き、ありがとうございますっ…。そのお言葉ひとつで頑張ろうという気持ちになれます! (2019年11月6日 18時) (レス) id: b46c3a08b5 (このIDを非表示/違反報告)
イエイエ! - やっぱ神だったのか、、、、★ (2019年11月5日 18時) (レス) id: 55820afc03 (このIDを非表示/違反報告)
茶トラ丸(プロフ) - イエイエ!さん» わわ、愛してるだなんて…ありがとうございます(о´∀`о)← (2019年10月28日 23時) (レス) id: b46c3a08b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茶トラ丸 | 作成日時:2019年10月10日 23時

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