極夜 ページ8
まるで、世界でたった一人になったよう。
それほど辺りは静寂に包まれていて、真夜中の黒々とした空気に押しつぶされそうだった。
あれから夜まで聞き込みを続け、一週間で十人以上が消えたことがわかった。
十人以上も、鬼の犠牲となったのだ。
「…私が止めないと」
これ以上、鬼の好きにはさせていられない。
私は神経を研ぎ澄ませた。
地獄のような鍛錬の日々で、
私は剣術や体力など人より劣っていたものの、集中力だけは誰にも負けなかった。
瞼を閉じ、
全身を集中して、呼吸をする。
不思議と、“奴”がどこに潜んでいるのか、わかるようになった。
「…あそこだ」
賑わいのある商店街から少し離れた、普段から人気の無い神社。
夜の雰囲気のせいか、昼間見たときよりも不気味さがより増している。
思わず足を運ぶのを躊躇ったが、私は意を決して闇の中を夜蜘蛛のように駆け出した。
鳥居をくぐり、境内へと走る。
瞬間、
惨憺たる何かが、私を恐怖へと包み込んだ。
しかし姿は見当たらない。
今まで戦ってきた鬼とはどこか違う気配が、境内の何処からかこちらを覗いているような気がした。
「…姿を現せ！卑怯者！」
その気配だけで足がすくみそうだ。
千切れそうなくらい心臓がうるさいのを誤魔化すように、私は日輪刀を強く握りしめた。
「喚くな小汚い奴め。折角の晩餐が台無しだろうが」
それは確かに、耳元から聞こえた。
「っ…！」
素早く刀を抜きとり背後を振り向く。
両手に人のような肉の塊を持ちながら、にやりと笑う鬼はまるで獅子の如き姿で、
大きく見開いた瞳は血のように真っ赤に染まっていた。
終わり←鬼の影
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粟野 - ルナさん» うわー恥ずかしい！！すみません訂正ありがとうございました！！ (2019年6月17日 17時) (
レス) id: 59340f0fd2 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - あのぉー……訂正がありますので言わせていただきますね…冨岡さんの性はこちらの「富」ではなくこっちの「冨」です…訂正お願いします。作品自体は好きなので応援してます！ (2019年6月17日 16時) (レス) id: e1e7054308 (このIDを非表示/違反報告)
粟野 - あづきさん» ありがとうございます、そう言ってもらえると嬉しいです、！ (2019年6月5日 17時) (レス) id: 978f1f60cc (このIDを非表示/違反報告)
あづき - とてもおもしろかったです。続きを楽しみにしてますね (2019年6月4日 13時) (レス) id: ad71e4aae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：粟野 | 作成日時：2019年5月29日 21時
