いつかの ページ3
人混みから抜け出し、近くの藤の花の家紋の家へと向かった。
歩みを進めれば段々と賑わいが減り、月明かりだけが足元を銀色に照らしている。
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一時間程歩き藤の家に着くと、待っていたかのように重い扉が鈍い音を立てながらゆっくりと開く。
「…鬼狩り様でございますね」
どうぞ、と言ってお婆さんは私を部屋へと招き入れてくれた。
疲労のためか食事と風呂を済ませれば自然と眠気に襲われ、瞼は重くなってくる。
今回の任務では偶然居合わせた剣士が助勢してくれたので助かった。
ほぼ無傷で済んだのは奇跡に等しい。
それほど、普段の戦いでの怪我の酷さが悍ましいほどわかる。
「…冨岡義勇さんとは、どのような人ですか」
心地よい眠りにつこうとしているとき、
暖かい布団の中で何気なく私はふと、あの日のことを思い出していた。
鬼の毒で重症だった私は、蝶屋敷で蟲柱・胡蝶しのぶから治療を受けていた。
どうしても彼のことが気になってしまい、同じ柱である彼女に聞けば何かわかるだろう、と好奇心で冨岡義勇のことを聞いたのだ。
「さあ、どうでしょうね」
まるで小さな子供をあやす様にはぐらかされ、結局彼については何も知ることができなかった。
ただ、彼女の優しく、しかし何処か影のある微笑みは、
彼はやめておけとでも言うように、私の脳裏から離れないのである。
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粟野 - ルナさん» うわー恥ずかしい!!すみません訂正ありがとうございました!! (2019年6月17日 17時) (レス) id: 59340f0fd2 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - あのぉー……訂正がありますので言わせていただきますね…冨岡さんの性はこちらの「富」ではなくこっちの「冨」です…訂正お願いします。作品自体は好きなので応援してます! (2019年6月17日 16時) (レス) id: e1e7054308 (このIDを非表示/違反報告)
粟野 - あづきさん» ありがとうございます、そう言ってもらえると嬉しいです、! (2019年6月5日 17時) (レス) id: 978f1f60cc (このIDを非表示/違反報告)
あづき - とてもおもしろかったです。続きを楽しみにしてますね (2019年6月4日 13時) (レス) id: ad71e4aae4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:粟野 | 作成日時:2019年5月29日 21時