29. ページ33
今日はいつもより月が大きい。
そんな気がする。
会いたい。
なんて、安っぽい小説の台詞は、私には似合わない。
この小さな窓から前のめりに夜空を覗いて、肩に羽織ったガウンがずり落ちる。それをミラに掛け直してもらって、尋ねられた。
貴方は何に対してそのように頑なに意地を張っているのか、と。
｢．．．まぁ、そんなに頑なになる必要もないんだろうけどねぇ｣
｢小さな間違いは、隠してしまえばいい。私もそうしてきた試しがある。でも、大きなしくじりは、いくらの月日を掛けようが消えないの。取り返しがつかないものなのよ｣
｢ごめんなさい。もう下がって、おやすみ｣
そう一方的に呟いた。
声音が少し硬くなったのは心に収まっていたはずの、溢れて零れた醜い恋心のせい。
足音が遠ざかったのを確認した後、肩にかかっていただけのガウンに袖を通し、愛刀とある物を掴んで窓枠に足をかけ、ふと思い出して一度戻って、端の折れ曲がった古い手紙を懐に突っ込んで窓から飛び降りた。
馬の宿舎に忍び込んで、愛馬のもとに寄る。純黒の鬣(たてがみ)の美しいこの雄馬の名はメルアン。微睡む彼を起こして鞍を乗せる。外に出してやって跨がれば合図と同時に駆け出した。
街灯どころか小さな灯りすらない森の中の暗闇で、頼りになるのは私の２つの目玉と愛馬の足音。しばらく走れば感覚が拓けた。森の奥深く、誰も寄り付かないくせに妙に小綺麗なお堂。
お堂の屋根によじ登って下を覗けば、地上のメルアンは夜に溶けこんで見えなくなった。刀を腰から外して傍に放る。片手を懐に突っ込んでごそごそやって、お目当ての物を取り出した。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カナト - 小粒納豆さん、優瀬さんの作品ではすみませんでした。私はもうしないように占いツクールを開くのを辞めます。すみませんでした。もう私の名前を見ることは無いと思いますが、小説はがんばってくださいね。 (2015年12月2日 23時) (
レス) id: 136af5a260 (このIDを非表示/違反報告)
闇夜(プロフ) - ふぁいとー (2015年11月15日 1時) (レス) id: 22162cdd0e (このIDを非表示/違反報告)
音牙 - 頑張れ！作者様ファイト！(ﾟ∀ﾟ ) (2015年9月11日 17時) (レス) id: 9f9ee0d942 (このIDを非表示/違反報告)
sakuya - ごめんなさい、途中で送信してしまいました。これからも(,,ﾟДﾟ) ｶﾞﾝｶﾞﾚ! (2015年8月6日 19時) (レス) id: 9f9ee0d942 (このIDを非表示/違反報告)
sakuya - 短針が２をさすんじゃないですか？ (2015年8月6日 19時) (レス) id: 9f9ee0d942 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小粒納豆 | 作成日時：2015年4月25日 16時
