心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ44)

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クリスマスが目前に迫った、12月半ば。
ホグワーツにはすっかり冬が訪れ、辺り一面は銀世界、中庭には雪遊びを満喫する者も現れたが、私はとてもそんな気分にはなれなかった。

クリスマス休暇には家に帰らなければならないし、城の中はすきま風が酷く、どこにいても凍えるように寒かった。

スネイプ先生の陰気な魔法薬学の授業を終え、ハリーとロンと共に地下牢を出ると、大きなもみの木を担いだハグリッドと出会った。

「やあ、ハグリッド、手伝おうか」

ロンが枝の間から尋ねた。

「いんや、大丈夫。ありがとうよ、ロン」

「すみませんが、そこをどいてもらえませんか」

気取った、嫌味ったらしい声。
いつものように、クラッブとゴイルを従えて偉そうにふんぞり返っている。
ハリーがあのクィディッチの試合に勝利してからというもの、マルフォイの嫌がらせは以前の倍にも増していた。

「ウィーズリー、お小遣い稼ぎですかね？君もホグワーツを出たら森の番人になりたいんだろう___ハグリッドの小屋だって君たちの家に比べたら宮殿みたいなんだろうね」

「構わないのが1番よ。行きましょう」

「あぁ、そこにいるのはフリントかい？君もすっかり貧乏人の匂いが染みついていて分からなかったよ」

ロンがまさに飛びかかろうとしたその時、階段をスネイプ先生が上がってきた。

「ウィーズリー！」

「スネイプ先生、喧嘩を売られたんですよ」

ハグリッドが木の間から顔をのぞかせて、ロンを庇った。

「マルフォイが、ロンの家族とAを侮辱したんでね」

「そうだとしても、喧嘩はホグワーツの校則違反だろう、ハグリッド。ウィーズリー、グリフィンドールは5点減点。これだけですんでありがたいと思いたまえ。さあ諸君、行きなさい」

マルフォイ達3人は、ニヤニヤしながら乱暴に木のそばを通り抜け、もみの葉をわざと撒き散らしていった。

「覚えてろ……いつか、やっつけてやる」

「あいつもスネイプ先生も、本当に嫌な奴よ」

「2人とも大嫌いだ」

ハリーは心底嫌そうな表情でそう言った。

「さあさあ、元気出せ。もうすぐクリスマスだ」

ハグリッドは私たちを励ますように言うと、大広間がすごいから、ともみの木をゆさゆさ揺らしながら歩いていく。

その後を追って、私たち3人も大広間へと向かった。