心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ43)

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ハリー達は試合の後、ハグリッドの小屋に用事があるらしく私も誘われたが別に用があったので断った。

山ほども兄に言いたいことがあったのだ。

競技場近くに、スリザリンチームの1人を見つけ意を決して話しかけると、兄はどうやらフーチ先生に呼び出されているらしかった。

急いで城に戻り、フーチ先生の部屋まで急いだ。

「これで何度目ですか！」

フーチ先生の怒鳴り声は廊下まで響いていた。
しかし、私が足を止めたのは、それによってではなかった。
ドアの前に、マルフォイが腕を組み、壁にもたれかかっていたのだ。

「兄上を慰めにでも来たのか？」

「違うわ」

私が答えると、マルフォイはつまらなさそうに鼻を鳴らすと、いつもの意地悪な笑みを顔に貼り付けた。

「最近はポッターの取り巻きになったそうだな。貧乏人のウィーズリーにマグル生まれのグレンジャー。はみ出しものの君にはぴったりじゃないか！」

「言ってなさい。この間酷い目にあったのをお忘れかしら？」

ドアの向こう側からは、増々ヒートアップした先生の怒号が飛び続けている。少しの沈黙に、静かな廊下の隅々まで聞こえるほどの声になっていた。

「あの時、僕の仲間に入らなかったことを後悔するがいいさ」

「しつこいわ、マルフォイ。あなたたちの仲間になるくらいならひとりぼっちの方が随分とましよ！」

「フン、君はせいぜい英雄ポッター様のお世話係くらいがお似合いだね！親無しのお可哀想なポッター様のね」

「マルフォイ！その無礼な口を閉じなさい！いい加減にしないと…」

「いい加減になさい！」

私が杖を取り出したのに合わせて、マルフォイが胸元のポケットに手を伸ばしたところで、フーチ先生が鬼のような形相で扉の向こうから現れた。

「Ms.フリント、杖をおろしなさい！まったく…兄妹揃ってこれですか」

後ろに突っ立っていた兄が、驚いたように先生の背中から顔を覗かせる。

「A、なんでこんな所に」

「お黙りなさい、Mr.フリント。あなたはさっさとポッターとマクゴナガル先生に謝りに行くのです！それから、罰則のトイレ掃除もきちんと済ませなさい。あなたがたも、彼に用事があるなら当分無理でしょうから早くお行きなさい！」

フーチ先生は相当気がたっているようだった。
私たち2人を視線で制すと、兄を連れて姿を消してしまった。

私もマルフォイも、それ以上言葉を交わすことなく、互いに反対方向へ歩き出した。