心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ34)

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ホグワーツに来てから既に2ヶ月が経とうとしていた。

兄は私の味方でいてくれると分かったあの時から、最近は心の中にあった霞がすっかり晴れたような心持ちで日々を過ごしている。

ハロウィーンの朝、大広間にはパンプキンパイが並び、生徒たちは我先にと朝食に集まっていた。
私はパイを4切れ、スクランブルエッグ、ソーセージ、それからハムとパンを胃袋に収めて授業に向かった。

「さあ、今まで練習してきたしなやかな手首の動かし方を思い出して」

いよいよ今日からものを飛ばす呪文の実践に入る。
フリットウィック先生は積み重ねた本の上で、キーキー声で言った。

「ビューン、ヒョイ、ですよ。いいですか、ビューン、ヒョイ！」

この呪文は中々難しい。発音も腕の振りも間違いないはずなのに、机に置かれた羽はピクリとも動かなかった。

そのうちに、上手く浮き上がらないことに癇癪を起こしたシェーマスが羽を燃やしてしまったり、教室中が苦戦を強いられていた。

「ウィンガーディアムレビオーサ！」

皆が半ば諦めていた時、それは起こった。
ハーマイオニーが唱えた呪文によって、羽は1、2メートルほど空中へ浮いていた。

「オーッ、よくできました！」

フリットウィック先生は大きく拍手をして叫んだ。

「皆さん、見てください。グレンジャーさんがやりました！」

感心する声があちこちから漏れ、ハーマイオニーは得意げに杖を降ろした。

私はもう一度羽に向き合って、それから呪文を唱える。

ウィンガーディアムレビオーサ！

10回ほど試した時、やっと羽が僅かに浮かんだ。
少しでも進歩したことが嬉しくて、私は小さく机の下で、ガッツポーズを作った。