心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ4)

今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:77,367 hit

４ページ4

汽車がホグワーツ駅に到着し、やっとマルフォイたちから解放された私は、大きく伸びをしてホームに降り立った。

「おーい、イッチ年生はこっちだぞ！」

ホーム上に大きく轟くような声で案内をしているのは、
大柄、という範囲にとどまらない三メートルは優にあろうか。ひげをたっぷり蓄えた大男だった。

「さぁ、出発するぞ！」

号令に合わせて一年生たちの小さな影が、ぞろぞろと動き出す。
ひんやりとしてじめじめした森の中の小道を、けつまづきながら前に倣ってなんとか歩いていく。

「そろそろホグワーツが見えるぞ」

足元ばかり見ていた視線をその声でふと上げると、真っ黒な湖のずっと向こう側に荘厳な城の姿がはっきりと見えた。

「…すごい」

周囲からは同じように感動する声と、大きく息をのむ音が方々に聞こえた。

「四人一組でボートに乗れ！」

湖面に浮いた数えきれないほど多くのボートに、再び驚きながら乗り込んだ。

「乗り遅れたイッチ年生はいないか？それじゃあ、進め！」

同じボートには、先ほどヒキガエルを探しに来た女の子も
乗り合わせていた。
緩やかに湖面を滑っていくボートに揺られたまま、私はまるで幻想世界のように美しい城に近づいていくのを、ただ黙って見つめていた。

「頭、下げい！」

皆が慌てて頭を下げると、ボートは蔦のカーテンの下を進み、湖岸に到着した。