心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ23)

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皆からの期待が最も高かった、闇の魔術に対する防衛術は数ある授業の中で初めて退屈だと思った。

担当のクィレル先生のターバンからは異臭がし、教室からはいつも強烈なニンニクの臭いがした。

頭に巻いたターバンは、アフリカでゾンビを倒した褒美にもらったというのでシェーマスがその話題を振ると、いつも決まって話題を天気にすり替えた。

そして今日はいよいよ魔法薬学の日だ。蝙蝠のような出で立ちのスネイプ先生が担当だった。
私は彼の思考が読めない真っ黒な瞳がどうも苦手なのだ。

いつものようにテーブルの隅で1人で朝食をとりながら、魔法薬学の教科書を眺める。
すべての教科に目を通してきたが、魔法薬学が群を抜いて、奇々怪々な用語が並んでいた。
図書館で借りた薬草の図鑑と教科書に載った名前を照らし合わせながら、サラダを口に運ぶ。

ちょうどその時、ふくろうが私の頭上を旋回して手紙を落とすと羽音も静かに降りてきた。
深緑色の封筒には嫌という程見覚えがあった。
思った通り、家紋の入った便箋には、父の流麗な文字が並んでいた。

『A、お前がグリフィンドールに組み分けされたことをマーカスから聞いて、私も母上も大変失望している。

代々我がフリント家はスリザリンという誇りを継承してきた。まさかお前がスリザリンのお眼鏡にかなわなかったとは思っていない。組み分け帽子の耄碌としか言いようがない。

グリフィンドールには魔法を学ぶにふさわしくない生徒が数多くいる。関わってはフリント家の尊厳が傷つけられる。間違っても交わることが無きよう、忠告しておく。

クリスマス休暇には必ず帰ってくること。話がある。これを読んだら返事をフクロウに持たせ、返信しなさい』

私はその場で手紙に火をつけた。燻りながら灰になっていくそれに、もう二度と目を向けることは無かった。

不愉快だ、素直にそう思った。思ってしまってから、初めて抱いた親への反感に居心地が悪くなった。