心理的背理法(1)-Ⅰ (ページ2)

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「クロエ、出ておいで」

にゃお、と控えめに鳴いて出てきて、クロエは私の足の上に丸まった。
昼寝の最中に起こされたからかまだ眠たそうだ。
兄にもらったペパーミントのキャンディを舐めながら、車窓に目を向ける。汽車の白煙が後方に細くたなびき、のどかな田園風景が流れていく。

「ここ、空いてる？」

突然コンパートメントの扉が開いて、黒髪の女の子が顔をのぞかせた。

「空いてるわ」

「良かった！ドラコ、空いてるって」

女の子の後に続いて、金髪の男の子とそれから大柄な男の子がぞろぞろと入ってきて、座席に座った。

「私はパンジー・パーキンソン。あなたは？」

「A・フリントよ」

よろしくと握手を交わすと、パンジーは男の子に紹介を促した。

「僕はドラコ・マルフォイ。こっちはクラッブにゴイル。よろしく」

彼はなんとなく気だるそうに挨拶すると、足を組み、ふんぞり返るように座りなおした。

偉そう。

私は空いていると返事をしてしまったことに、少し後悔した。

「Aはどこの寮に入りたいの？」

「そんなの決まってるだろう、スリザリンさ。彼女は純血の聖２８一族だ」

「それならスリザリンで決まりね。家系は皆様どこの寮？」

「スリザリンよ」

「ほらみろ」

勝ち誇ったような顔で、ますます踏ん反りかえったマルフォイ。
この人は苦手だ、出会って間もなく私は彼にそう評価を下した。

「父上がよくおっしゃっていた。偉大な魔法使いは皆、スリザリン出身だとね。ほかの寮に組み分けされたら、僕はホグワーツを心底軽蔑するよ」

その言葉に私以外の三人は大きく頷いた。