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零と私が後部座席に乗り、
もちろん運転席には風見さんがいて
車が出発する。


少し揺れる中、出来るだけ零の応急処置を
始めた。




「どちらまでお送りしましょうか?」


『ここからだと私の家の方が近いよね。
風見さん、私の家まで! 零も
そこで降ろすから』




零の傷口付近をハンカチで結びながら
言うと、少し動揺した声で風見さんが返事を
する。


視線を感じた方を見れば、零が何かを
物申したそうにこちらを睨んでいたため
私は黙らせるように睨み返した。


はぁ、と溜め息をついた零は
そのまま窓に寄りかかり外を眺め始める。


変わりゆく街の灯りに照らされて
様々な色を見せる零の表情。


どの光でも、零を輝かせる色は
何一つなかった。






一体貴方はどんな色に染まれば、
そんなに悲しい顔をしなくなるの?





……別に、零がどんな気持ちで生活してるか
なんて私には関係ないけれど。




視線を逸らして、私も窓から外の世界を
覗き込む。




まるで自分の世界から零がいなくなって
しまったような、そんな不安を
感じさせるくらい真っ暗な夜の世界だ。



隣で弱っている零でさえも
偽物なんじゃないかと思えてくる。




何も信じられない事が、こんなにも
寂しいことだったなんて久しぶりに
感じた。




気がつけば、景色はだいぶ見慣れたものに
なっていく。



もうそんなに時間が経っていたなんて。



そこが家の近くだと気づいて、慌てて
風見さんに信号を曲がってもらうように
言った。



曲がっていくと3階建ての小さなアパートが
あり、そこの手前で停車される。



『風見さん、わざわざありがとうございました』


「お気になさらないでください。降谷さんは
大丈夫ですか?」


「あぁ、平気だ」



私が先に降りて零の方のドアを開けると、
零は何事も無かったかのようにスッと
出てきた。


地面に立っても全くフラつかず、
身体に大怪我を負ってるなんて
見た目じゃ全くわからない。



この短時間でこれだけ回復するなんて……。



その自然治癒力の異常さに何か感じるものがあり
私はまたもや零から一歩離れざるを
得なかった。



「ではまた明日迎えに来ますので」


『ありがとうございます』



風見さんに笑顔で頷くと、彼は
そのまま車に戻り来た道を戻って行った。

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作者名:ももりんご | 作成日時:2018年5月27日 17時

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