【降谷零】ガラス細工の心臓【ゼロの執行人】 (ページ2)

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『えぇ！？方向転換してカプセルがこちらに！？』

｢はい！どうやら降谷さんもそちらに
向かっているそうです｣

状況を部下が焦った口調で説明するのを聞きながら、
私は全力でカジノタワーに向かって走っていた。

『わかった、ありがとう』

そう言って電話を切り、なんとかカジノタワーに
追いついた私は警備をしていた
男に声をかける。

｢はっ、Aさん！｣

『あと5分でここにカプセルが衝突
するかもしれない！
今すぐ皆さんを出来るだけ離れたところに
避難させて！』

｢な、なんだって！？そしたら
またバスで移動した方が……｣

『馬鹿ね！そんな時間がどこに
あるのよ！大体あの渋滞を見なさい、
ここからどうやって動くの！？』

つい大声で怒鳴りつけてしまい、男は
謝りながら食い下がると
同じ警備員に状況を伝えて
その場にいた人を案内させる。

他の場所にも伝えないと、と
また走り出そうとした時、
カジノタワーから人が出てくるのが見えた。

『……建物の中に、人がいるの？』

｢は、はい……上の方にも避難させています。
しかし警備の者がいないそうで
連絡手段が……｣

口ごもる警備員の肩を押しのけ、
カジノタワーの中に走り込む。

確か、このカジノタワーには蘭ちゃん達も
避難してたはず。

……お願い、ここ(1階)にいて！

しかし流れる人の中に、どうやら蘭ちゃん達の
姿が見当たらない。

嫌な予感はしていた。

冷や汗が背中を伝う。

人もまばらになってきた頃、一人の警備員が
こちらに向かって走ってくる。