夢小説 (ページ3)

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カタクリ3 ページ3

「すまない。お前の両親を助けられなかった。

お前の両親が作るドーナツは、俺のお気に入りのひとつだったんだが…」

そういい、両親に目を向ける。

それに釣られて私も見ようとしたが

「お前は見ない方がいい。」

そういって視界を遮る。

「…ねえ、お父さんとお母さんは？」

「…」

「帰ってくるよね…？」

「……お前の両親は、死んだ。」

「うそだ…だって、朝、帰ってくるって…帰ってきたら一緒にドーナツ作ろって…約束、したのに…」

わかっている。

ここは四皇ビッグマムの縄張り。

傘下の海賊もいる。

その中には…危ないヤツもいるから、気をつけなさいって言われていた。

突然、殺されるかもしれない危険があるのは…知っていた…。

でも自分の周りでそんなことが起きるなんて思いもしなかったのもまた事実。

私は思いっきり泣きたいけどなんとか堪えていた。

辛い時こそ笑え、そうお父さんに教えられたから。

「…泣かないのか？」

そう、目の前の男の人がいった。

「だ、って…お父さん、がね、辛い時は笑えって…笑って、辛いこと、吹き飛ばせって…言ってた、から…」

ぐす、ズビ、と堪えきれずに出てきた涙や鼻水を拭い、無理やり笑顔を作っていた。

「…お前の親父さんには、俺もガキの頃から世話になった。

泣きたいなら、泣け。お前はまだガキなんだ。

両親が死んでまで泣くのを我慢する必要はない。」

そういう目の前の男の人が、かっこよくて。

やっぱり泣くのを見られたくなくて。

でも、その優しい言葉に泣かずには居られなかった。

「う、…ぐす…ヒック……うわーん！！」

私は、大声で泣いた。

男の人は、泣き止むまで、ゆっくりと、優しくて大きな手で、小さな私の頭を撫でてくれていた。