48．ランキング ページ48
＜SIDE北斗＞
「何から何までありがとうございました」
空港の屋上で飛行機を眺めていると、隣に立っているAがそう言って頭を下げた。
「いや、俺は別に」
俺も彼女の方を向く。
「松村さんのおかげです」
「ま、良かったよ。ちゃんとお見送りできてさ」
「はい」
どの飛行機かは分からないけど、二人で空に浮かんだ機体を眺める。
「あ、そうだ、これ。姉さんから」
忘れるところだった。
俺はポケットからカードを取り出した。
「招待状？」
それを受け取ったAは嬉しそうに見る。
「ドレス選んでくれたのお前だって話したら、絶対連れて来いって」
「え、いいんですか？」
「まぁ、本人たちが来いって言ってるからね」
「う、嬉しいです。行きます、絶対」
「うん。そうしてやって。二人も喜ぶと思う」
その嬉しそうな顔を見て、俺はまた視線を空へと移した。
すると、
「あ、あの」
Aがまた声を掛けてきた。
「うん？何？」
「松村さんも行きますか？結婚式」
「そりゃあ弟だからね」
やっぱこいつ抜けてんな、と思っていると、
「行きませんか？」
何だか恥ずかしそうにAが言った。
「…ん？」
これって、と考えていると、
「一緒に、行ってくれませんか？」
今度はAがはっきり言った。
「…あ、俺と？」
「…はい」
びっくりして人差し指で自分を指すと、頷くA。
「…それってさ、あの勘違いだったらあれなんだけど」
「…はい」
「…この前の、その、俺への返事、いやこれは行きすぎか、可能性的なもの？」
しどろもどろになりながら心の声交じりに尋ねる俺。
すると、
「あ、え、この前の返事、です」
Aも戸惑いながら言った。
…え、
ちょっと、待って…。
「…まじか」
と言うと、
「…まじです」
俺の言葉を真似して肯定するA。
そんな姿が可愛くて、
「え、ちょっとごめん」
思わず抱きしめてしまった。
「わっ…ちょ、松村さん？」
俺の腕の中で驚くA。
「…生きてきた中で嬉しいランキング1位だわ。うん、ぶっちぎりで」
何言ってんだ俺、と思いつつもこれが素直な感想。
「…お、大げさですよ」
戸惑いながらも笑っているA。
「これからもさ、更新してよ」
そう耳元でつぶやくと、
「…へ？」
何のこっちゃ分かっていないA。
「俺の隣でさ」
そう言った俺の背中に回る小さな手は了解って意味で受け取っておくよ。
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作者名：リトルバード | 作成日時：2020年8月20日 15時
