僕の隣 (ページ16)

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16.　俺の番ページ16

＜SIDE北斗＞

「…すみません、大我が変なこと言って」

「いや、別に」

会議室に向かう途中、隣を歩くAが申し訳なさそうに頭を下げた。

「…ボンボンなんで、ちょっとズレてるんです」

「それは一番最初に会った時から分かってた」

「ですよね」

「…てかただの幼馴染じゃないじゃん」

「…まぁ」

俺の指摘に気まずそうに答えるA。

「…結婚、すんの？」

思い切ってそう尋ねると、

「…実は親同士が決めたんです」

Aはこれまた気まずそうに答えた。

「…は？」

「昔からうち家族ぐるみで仲が良くて」

「…え、お前んとこも医者なの？」

「いえ、うちは普通の会社員なんですけど。おじさん、あ、大我のお父さんが私のこと気に入ってるらしくて。うちの両親も大我のこと大好きなんで」

「…お前は？」

「へ？」

その質問に一瞬、Aの目が揺らいだような気がした。

「いや、お前はあの人のこと好きなの？」

「…好きっていうか、元々家族みたいな感じなので」

「…そっか」

「一緒にいすぎて今更付き合うも何もないっていうか」

「あー、お互いのこと知り尽くしてんのね」

「…多分…？」

本人は首を傾げてるけど、俺からしたらかなり親しい関係に見えた。

「まぁ、いいんじゃない？裕福そうだし、医者だし生活には困んなそうじゃん」

「…そうです、ね」

「ま、良かったじゃん。正社員の件、受け入れてもらえてさ」

「…はい」

そう言ったAの顔はどこか浮かなくて、本気で深澤先生の言った通りにしてみようかな、なんて思ってしまった。