31.だってお前ら ページ31
<SIDE翔太>
「…俺急いでるんで」
弟は俺を見るなり背を向け歩き始めた。
「待てって!」
「しつこいな…」
腕をつかんで引き止めると、弟はイラついたように言った。
「話あるって言ってんだろ」
「俺はありません」
吐き捨てるように答える弟。
「俺があんだよ」
「…」
そう言うと黙り込んでしまった。
「…お前もだろ」
「…何がです」
俺の言葉に苛ついたように問いかける弟。
「お前も松村のこと本気だろ?」
俺は弟の目をしっかり見て聞いた。
「…は?」
「弟としてじゃなく、一人の男として松村のこと好きなんだろ?」
「…あなた何言ってるんですか?」
俺の言葉に耳を疑う弟。
「…じゃあ何で、何でさっきあんなに怒ったんだよ」
「俺の気持ちは?」
「用無しって意味じゃん」
俺はさっき病室で松村に怒鳴った弟の姿を思い浮かべた。
「…それは」
「それは?」
「…姉さんが恩知らずだから」
弟はそう答えた。
「…違う」
「は?」
「お前はそんなやつじゃない」
「…あなたに何が分か「松村から聞いた」
反論しようとする弟を遮り俺は言った。
「…ガキん時から自分のこと守ってくれたのはお前だって。
お前はあいつに見返り求めるような人間じゃない」
「…」
「それに見たら分かる」
「…は?」
「同じ男だから分かんだよ。お前があいつをどれだけ大切にしてるか。
お前知らねぇだろ。あいつ見るときのお前の目、すっげぇ優しいこと」
「…さっきから好き勝手なこと言ってますけど、じゃあ、仮にそうだとして。
何です?正々堂々勝負しようってことですか?」
折れたのか、弟は俺に向き直ってそう尋ねた。
「…おう。俺もお前も松村のこと本気だからな」
「あの、あなた学年一位なんですよね?」
俺の答えにほくそ笑む弟。
「そうだけど」
「…学年一位って馬鹿なんですか?近親者同士は恋愛が出来ないんですよ?
その時点で可能性消えませんか?」
弟は呆れたようにため息をついてそういった。
「できるよ」
「…は?」
「お前ら、血つながってねぇもん」
俺の言葉に弟は目を見開いた。
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小鳥(プロフ) - しょぴたんさん» しょぴたんさん!完結して日数経っていますがこうしてコメントいただけてとっても嬉しいです。なべほくいいですよね…笑こちらこそ作品読んでくださってありがとうございました><またしょっぴーとは別の作品でお会いできるよう頑張ります! (2019年9月9日 22時) (レス) id: e764ad7d51 (このIDを非表示/違反報告)
しょぴたん - しょっぴーの作品なにかないかなーと思って出会った作品。北斗のことも大好きなので、推し×推しという最高の設定。いざ読み始めたらとても素晴らしい作品で一気に読んでしまいました!こんな素敵な作品に出会わせていただきありがとうございました! (2019年9月8日 22時) (レス) id: 3b873b3050 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥(プロフ) - あーべちゃんさん» あーべちゃんさん!お読みいただきありがとうございました!面白かったという感想、とってもとっても嬉しかったです。何度も読み直していただくと新たな伏線?みたいなのが見えてくると思います!新作も楽しみにしていただけると嬉しいです! (2019年8月24日 23時) (レス) id: fc4bc2a384 (このIDを非表示/違反報告)
あーべちゃん - とっても面白かったです。終わっちゃいましたけど、これからも読み続けます! (2019年8月24日 22時) (レス) id: cbb25d61fe (このIDを非表示/違反報告)
小鳥(プロフ) - 神ななさん» 神ななさん!ありがとうございます!心に響いたようでとても嬉しいです。しっかり読んでくださったからこそだと思います。ありがとうございます。新作執筆中なので楽しみにしていただけると嬉しいです! (2019年8月24日 17時) (レス) id: fc4bc2a384 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鳥 | 作成日時:2019年8月10日 21時