ドストエフスキー ページ7
夜___、満月に照らし出された寝室で、この世のすべてを哀れむような瞳をしたやせた男
フョードル・ドストエフスキーは目の前に横たわる愛しい少女、海山Aの頬をなでた。
「ん・・・・・・」
Aは一瞬顔をゆがめ、瞼をあけた。
「おや、目覚めましたか。」
少しばかりつまならそうにつぶやいたドストエフスキーはAのおびえたような表情に微笑みかけた。
「あなたは・・・誰・・・?」
少しの怒りと恐怖を孕んだその問いにドストエフスキーは思わず頬を緩ませた。
「フョードル・ドストエフスキーですよ、A。」
なぜ、自分の名前を知っているのか、なぜ、こんなに嬉しそうなのか。
等々、様々な疑問がわき上がってきたが、それ以上に恐怖がわき上がっていた。
Aは、静かにドストエフスキーのされるがままになることにした。
「ずいぶん物わかりが良いですね、・・・感謝します。」
ドストエフスキーが手に何かを持ち、微笑した。
手に持っているのは、___________ハサミ。
ドストエフスキーはAの髪の毛にハサミを当てて聞いた。
「あなたは、僕だけのものですよね?」
恐怖で体が小刻みに震えながらAは必死に頷いた。
____じゃきん!______
と、音を立ててハサミに切られた髪がぱらぱらと床に落ちた。
「ですよねえ・・・・・・」
ドストエフスキーが口角をあげてわらった。
それすらがAは恐ろしかった。
恐怖で震えがとまらなくなり、顔から血の気が引いていく。
「どうしました?」
ドストエフスキーは嬉しそうに微笑し、またハサミを当てた。
「どうしました?」
震えながら首を横に振ると
目を細めてドストエフスキーはハサミをうごかした。
__ずっ__
短い音とともに赤い線が首筋に引かれた。
「愛してますよ、A」
理不尽な痛みと愛で激しい嫌悪感に襲われた。
Aはドストエフスキーを見つめていった。
「私はあなたを愛さない_____!」
しばらくの沈黙。
ドストエフスキーは静かに聞いた。左手に拳銃を握って。
「なぜ僕を愛さないんです?」
Aは答えなかった。
「・・・・・・そうですか。」
ドストエフスキーは残念そうに嗤った。
一発の銃声が木霊した。_____
「大丈夫です、すぐに僕も・・・」
ドストエフスキーの頬を暖かいものが伝い、床に落ちていった。
____満月は静かに光っている____
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ann✩ - 賢治君最高おおおおおおおおおおお! (2022年9月4日 10時) (レス) @page19 id: 6a7e843e24 (このIDを非表示/違反報告)
しお - 琴葉さん» いえいえ、またいつでも変だと思ったらコメントくださいね。(*^_^*) (2017年8月22日 8時) (レス) id: f00d45c984 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - しおさん» あ、戻ってました!太宰さんのだけ夢主の名前がAちゃんのままだったので、固定なのかと思ったので。ご迷惑をおかけしました。 (2017年8月21日 23時) (レス) id: 5a56e3c42b (このIDを非表示/違反報告)
しお - 琴葉さん» となっております、(語彙力なくて、すいません! (2017年8月21日 23時) (レス) id: f00d45c984 (このIDを非表示/違反報告)
しお - 琴葉さん» でも、夢主の名字がある話は、名字→固定名前→無固定 (2017年8月21日 23時) (レス) id: f00d45c984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しお | 作成日時:2017年8月18日 13時