彼の想いは届かない。【ヤンデレ】

新双黒 ページ23

「はあ・・・はぁッ・・・」

荒くなった呼吸を整えながらゆっくりと後ろを見た。

こつこつと二つの足音がして、私はおびえを隠して目をこらす。

「やっと、止まってくれましたね、Aさん・・・」

「僕たちから逃げようなどと考えぬことだな。」

中島敦と芥川龍之介。

私はこの二人に追われていた、

「僕の想いがわからぬのか？」

「好きなんですよ、Aさん＿」
何故かなんて、わからない＿。

何が目的なのかも、わからない＿。

判るのは絶対的な恐怖のみ＿＿＿＿。

お願いです、誰か＿

誰か＿＿＿

「誰か助けてっ！！」

気がつけば叫んでいた。

「お願い・・・、誰かっ＿＿＿」

叫びながら必死に逃げる、

もちろん私は無能力者。

判ってる、＿

いつかは＿捕まってしまうと。

それでも私は逃げ続けた。

逃げ回って、

逃げ回って・・・、

逃げ回って・・・・・・。


＿＿＿でも物語には終わりがある。＿＿＿

「はぁ、はぁ・・・」

もう走れそうにない。

ゆっくりと私は膝をついた。

ざくっ、と

鈍い音がして私は腹部を見つめた。

黒い布が突き出ている。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

「全く・・・次は逃げちゃ駄目だよ？Aさん？」

「本当だ、次は腕だ、A」

私はぼんやりとあるべき部位を失った下半身を見つめながら

ゆっくりと目を閉じた＿＿＿＿。

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