~高嶺の華とお付き合い~ ページ5
『私にメリットがない』
「月、3万。これでどう？」
『乗った』
お金に目が眩むのもどうかと思う。
金は大事だよ？
……違う、違う"お金"。
『家柄は？』
「なにそれ」
『私の両親は旅行会社に勤務。で？』
「……実家は神社。今は俺が主に表に出てる」
だからおばけが纏わり付かなかったのか。
『いいね、即決』
「？」
まあなんやかんやあって、私達は恋人同士になった。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
そして、今現在。私は学校一の高嶺の華……の彼女と称されている。
d「ねぇ、そらる様！私と付き合ってください！」
e「いや、私と付き合うべきだわ！」
f「私と！」
g「私と！！」
『ぉー…………。』
……今日も元気ですね。
私の彼氏、百華そらるには彼女がいる。もちろん私。クラスで公表もしたし、何なら仲良しアピールも仕事のうちだと沢山した……そのはずなのに、人気が絶えない。
「ごめんね、彼女いるから」
『そらる、』
彼は私を見て「行くぞ」と言って手を握りしめ歩き出す。そんな私を周りの女子たちは睨みつけるように見ていた。
g「百華くぅん……またあの女？」
e「そらる様の彼女なんて信じないし！！」
くぅんって、犬みたいだね。
ご主人様から離れなれないんだね。
『……じゃあさぁ、私が繋いでるこの手ってなんなのかなぁ？？かわいそーだねっ!!』
「……お前らうるせーよ」
そらるが声を発すると、ぴたりと言い争いは止んだ。
彼は怒らせると怖いらしい。
「行こう、A」
『う、うん』
もう少し煽りたかったが、ぐんぐん歩く彼に着いて行くので精一杯だった。
「はぁ……」
『疲れたの？』
「お前のせいでな……」
ため息をつく彼の顔はどこか疲れていそうだった。
『あーいうのカッコよくない？』
「そーいうの厨二病って言うんだよ。」
『……ちょっと違う気もするけど』
放課後。まあ普通のカレカノなら一緒に帰るだろう。だがしかし、私たちは違う。
『ねね、前払いしない？？私もう限界かも……』
「まだ始めてから30分も経ってねえから我慢しろ」
『鬼畜……』
そう、私達はまだ何もしていない。ただ手を繋ぐだけ。それだけなのに……
『っ……』
「なに？」
『なんでもない！』
ドキドキする。手汗とか大丈夫かな。こんなので気持ち悪いと思われないかな。色々と考えてしまう。
手くらいなら繋いでもいいよ、と言おうとした私を心の全力で否定した。
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作者名：小鳥 | 作成日時：2023年7月9日 15時
