☆ ページ25
『え？』
次の瞬間、ニヤリと顔を変えた男の子は私の首に思いっきり噛み付いた。
『痛っ……』
鋭い痛みが走る。がっつりやられちゃった。そして彼はそのまま私を押し倒していく。
なにこれ……子どもの力じゃない……！！
「A！」
『ごめんね、私悪霊だって気づけなかった。でももう分かったから！！……あなたのこと祓うよ』
そう言うと同時に、私は霊力を一気に放出させた。その勢いに耐えきれなかったのか、男の子はそのまま吹っ飛んでいった。
「A！大丈夫！？」
『なんとか……ごめん、油断していたせいで噛まれちゃった』
「後で手当てするね」
『うん、ありがとう』
そらるは私に手を差し伸べてくれて、私もその手を取って立ち上がった。
「おいお前！Aから離れろ！！」
そらるが叫ぶと、男の子はビクッとして後ずさりした。
霊「嫌だ……僕、死にたくない……」
『何言ってるの、あなたはもう死んでるよ』
霊「違う……僕は、まだ生きてる……お母さんとお父さんと遊ぶんだもん」
「あの世に逝くのは君だよ」
そう言って、そらるが男の子に手をかざすと、その子の姿は強い光を放って、一瞬にして消えていった。
『……今のは？』
「成仏したよ」
『そっか……っ』
「大丈夫？傷」
私の首元には、大きな歯形が付いていた。
あーあ、しばらく跡残りそうだな。
「手当てするよ」
『うん、お願い』
そらるは私の首元の怪我を見ながら、消毒液をつけたガーゼを当てた。
『いった……染みる〜』
「我慢して」
そらるは真剣な眼差しで私の首を見ている。
なんか……変な感じ。
「はい、終わった」
『ありがと』
「ねぇ、なんであいつにちゃんと攻撃しなかったの？」
『だって……子どもだったし』
情を揺さぶってくるタイプ……苦手かも。
「でも、あれは普通じゃなかった。そうでしょ？」
『そうだけど……なんか出来なかった』
「次からはちゃんと子どもを祓う特訓もしなね、怪我してほしくないし」
『はーい』
それはそうだ。このよっっっわい私なんて、もう少し強い相手だったらすぐにやられてしまう。
「あと、さっきの吹き飛ばしたやつは？？」
『お父さんに教えてもらったの、この町には強い悪霊が沢山いるからって』
「へぇ〜すごいじゃん、俺もそういうお父さんが欲しかったなぁ」
『まぁ、まだまだ使いこなせてないけどね』
「これからもっと上手くなるよ、帰ろ」
そうして私達は遊園地を出て、帰路についた。
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おみくじ結果は「末凶」でした！
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作者名：小鳥 | 作成日時：2023年7月9日 15時
