誘惑のVampireHouse 【2】 (ページ8)

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逃げるためにページ8

それはただの夢物語だった。
翌日。よく雨が降っていてどんよりとした日だった。
朝ごはんを食べ終わり、それぞれ解散となり、私は昨日ぶりにあらきさんの部屋に行った。

あ「お時間大丈夫ですか？」

『することもないので、お手伝いします！！』

あ「ありがとうございます、それじゃあ説明しますね」
「どうやら、Geroさんからもらった薬には人間の血が混ざってたようなんです。」

『人間の血……』

あ「だから、そのためにAさんの血が必要なんです」

『分かりました、もちろん使ってもらって大丈夫です!!』

あ「ありがとうございます」

注射器に入っている真っ赤な血を見て、少しだけ気持ち悪くなる。

あ「これが試作品です」

既に毒々しい色をした薬を見せてくれた。そして私の血を入れる。
みるみる赤色に染まり、紫色にもどった。

『これを飲めば……』

あ「そうですね。成功すれば、きっと俺たちはここから逃げられます」

逃げられる……
なんだか不思議な気分だった。ここを出ていく、その事実が現実味を帯びてくる気がしたから。

あ「でもこれは……失敗ですね」

あらきさんは悔しそうにそう呟いた。

『そんな簡単に……』

そんな簡単に上手くいかないことは分かっていた。
だけど、どこか期待していたのかもしれない。
私も、みんなでここを出たいと思っていたから。

あ「でも、まだチャンスはあります。これも反応はごく僅かだったけど、その間は確実に効くのは確かだった」

『そっか……』