その手は酷く暖かかった。 ページ40
め「なるせ!あらきさん!!今だよ!!」
ヒュー・ドドン、ピー・パパン!!!
めいちゃんの合図と同時に花火が打ち上がった。
キラキラと光るその綺麗な光景は、この世のものとは思えないくらい。
これきっとなるせちゃんのだ……。
『わっ、すごい……!!』
私はその光景に見惚れていた。
でも、同時に疑問が浮かんできた。
『ねぇ、めいちゃん何でいるの?』
私は恐る恐る聞いてみた。すると、彼はあっけらかんとした様子で答えた。
め「もちろん!Aといたいから来ちゃった!!」
『そっか……』
私は胸が熱くなった。
めいちゃんの笑顔はいつも通り優しい笑顔だったけど、どこか哀愁が漂っているような気がした。
め「こっからは大事な話、ちゃんと聞いてね」
『?……うん』
め「A帰ろう、人間界に」
『……帰る?めいちゃん今……』
私が戸惑ったように言うと、彼はゆっくりと首を縦に振った。
め「うん、帰るの」
『……どうやって』
私には信じられなかった。こんな奇跡みたいなことが起きるなんて、何か裏があるんじゃないかって。
そんな私の疑いの目を察したのか、めいちゃんは苦笑いしながら言った。
め「俺につかまってれば大丈夫だよ、Aの居場所はここじゃないでしょ」
『……ぇ』
彼の言葉は正論だった。でも私はまだ怖い。ここでいなくなれば……と考えるだけで震えてくる。
『どうして私なんか……』
やっとのことで振り絞って出した言葉だった。
その言葉を絞り出すのに私はかなりの時間を費やしてしまったと思う。
そして、返ってきた言葉は実に温かいものだった。
め「だって友達じゃん」
ああ、やっぱり私の選択は間違ってなかったんだ。
そう思ったら自然と涙が出てきた。
『ありがとう……っ』
私が口籠もると、めいちゃんは優しく笑って、私の頬に触れた。
め「こちらこそ、俺らにいっぱいくれてありがとう」
そして涙を拭ってくれた。
その手は温かくて優しくて、やっぱり安心感があった。
あ「俺らのこと忘れてなぁい?」
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作者名:小鳥 | 作成日時:2023年3月21日 13時