誘惑のVampireHouse 【2】 (ページ37)

今日:25 hit、昨日:2 hit、合計:10,290 hit

お母さんのボロボロの日記ページ37

その後、私はまふまふさんに呼ばれてお城の１番上の階に来ていた。
目の前には元々お母さんが使っていたという部屋。ドアを開ければ簡単に入れてしまう。

m「元、姫様の日記がその部屋にはあります。魔法か何かで書かれていたものが我々には読めません……ですが、Aさんなら分かるかもしれないんです……!!もしかしたらどうして彼女がここを出て行ってしまったのか分かると思うんです。読んできて貰えますか？」

『分かりました』

私は恐る恐る扉を開けた。
中は埃っぽくて、蜘蛛の巣が張っている。長い間掃除されていないことが一目で分かった。そのまま残しておいていたのだろうか。机の上に日記帳のようなものが置かれている。
ボロボロ……。私はそれを手に取り、ページをめくった。

『え……』

"私はこの国を抜けようと思います。
きっともう二度とここには戻れないでしょう。
私の役割、幾度無く聞かされてきました。あなたがいてくれて良かった。そんな言葉も沢山聞きました。でも、それが辛かった。
私は誰かに頼られている、誰かを救える力もある。でも、それは私を守ってくれる訳じゃない。いつからか苦痛になっていました。

私が皆様のこと、恨んでいるなんてありません。また、国民が王宮の皆様が恨んでいるとしても私はそれを受け入れます。でもここにいたら何時までも縛り付けられてしまいそうな気がしたから。
我儘な姫でごめんなさい。
どうか許してください。"

私はそのページを見て、全身の力が抜けた。
……そうだったんだ。だからお母さんは人間界に逃げて、お父さんと結婚したんだ。
そして私を産んでくれた。いつも優しくて明るいお母さんだった。……森に行った時を除いて。
私は少し考えてから、ある仮説を立てた。

［きっと、お母さんはここにいたら自分を嫌いになってしまいそうだから、逃げてきたんだ］

だとしたら、残された私はどうすればいいの？お母さんとお父さんがいなくなって、私はどうしようもない孤独感に苛まれた。それは今も続いている。お母さんの代わりなんて誰にもできない。そんなことは分かってた。でも、それでもお母さんに会いたかった。慰めて欲しかった。もう一度だけでいいから声を聞きたいと思った。

『……会いたいよ、お母さん、お父さん!!!!……寂しいよっ』

お母さんの日記を胸に抱えたまま、私は泣き崩れた。涙が枯れるまで泣いたはずだったのに、何時まで経っても全然止まらない。