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振り払いたくなかった手 ページ18

「……A大丈夫?」

優しい声で心配してくれるこの人は……。

『めいちゃん?』

め「うん、A手貸して」

私の傷口を舐めた後、手を握って何かを唱え始めた。
……これってあの時の夢?
それならめいちゃんはきっと次こう言う。

め「これで大丈夫だと思う」

……うん、痛みが軽減された。

『……ありがとう』

め「ごめん」

泣きそうになりながら話す彼を見て胸が締め付けられる。
どうしてそんなこと言うの?

『私、知ってたよ』

め「知ってたって……」

『夢で見た……なんて信じてくれないよね』

め「……うん」

そうだよね。
やっぱり……。

『めいちゃんには色々ずっと秘密にしてたよね、ごめんね。めいちゃんは話してくれたのに私は勇気がなくてあの場がなかったら多分話そうとしなかったかも』

め「じゃあどうして……どうして……!!」

『私こそごめんね』

めいちゃんの手を握る。

め「なんでそんな平気な顔するの!?」

『……!』

違う。
そんな顔させたいんじゃない。
泣かないで。
お願い、泣かないで。

『……私なら大丈夫だよ?』

そう言って彼の頬を触る。
泣いてるの? どうしたらいいの? 分からないよ。
めいちゃんは悪くないんだよ?

m「姫!こちらに!」

まふまふさんが私を呼びつける。
なら、もう行かないと。

め「だめ!!行かないで!!」

s「行きましょう」

そらるさんに手を引かれ、ステージへ上がる。
私はただ従うことしか出来ない。
めいちゃん……ごめんね。

そのままあれやこれやとありつつ、就任式は終わり民衆も帰って行った。
ステージ裏にいたあらきさんもなるせちゃんもめいちゃんも見えない。
行っちゃった……。
これで良かったんだ。これが最善策。
もう私には何もできない。
でも、せめて……

『……バイバイ、楽しい時間をありがとう』

私の大好きだった人へ、精一杯の感謝を込めて呟いた。

お願いだから、幸せになってね→←私を助けてくれる君



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作者名:小鳥 | 作成日時:2023年3月21日 13時

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