【図書館戦争】今日も会いに行きます (ページ3)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:13,546 hit

03 ページ3

予想通り二人組はこの店へ入ってくる。

しかしその後予想外の行動に出た。

なんとその二人組――正確にはショートカットの子――がまっすぐ私の元へやってきたのだ。

私は頭の中にハテナマークを浮かべ彼女たちを見上げた。

「あの、何か？」

「ねえ、堂上教官の子だよね！？」

ショートカットの子は、確かに『堂上教官の子』と言った。

堂上教官というのはあの堂上さんのことだろう。

私と堂上さんのことを知っているのは、図書館員の人か頻繁に図書館へ通う利用者くらいだ。

隣の黒髪の彼女は確かあそこの制服を着ていた覚えがあるから、たぶん彼女も図書館員なのだろう。

「いきなり話しかけたら驚くじゃない。ごめんねぇ、この子アホだから」

「ああ、いえ。図書館の方ですよね？こんにちは」

「こんにちは。ね、もしよかったらここ座ってもいい？」

「もちろんです。どうぞ！」

ひょんなことから図書館員と昼食を共にすることになった私は、この後堂上さんとの関係を根掘り葉掘り聞かれることになるとは思いもしなかった。

「まさかこんなところにいるとは思わなくてさー、もうビックリしちゃった！」

「いやいや、突然隣で奇声を上げられたあたしのほうがビックリよ」

軽い自己紹介の後の話題がまずこれ。

確かに私も驚いたけれど、理由を聞いてしまえば少し気持ちが分かる気がする。

「笠原さんが私を覚えてることに、正直かなり驚きました。柴崎さんはカウンターとかでたまに見かけるけど、笠原さんってあんまり見なくて」

「そりゃ覚えてるよ～堂上教官と一緒にいるところよく見るもん。でもホントにびっくりしたなぁ、同い年かそれ以上だと思ってた」

「そう？私自分より下だと思ってたわよ。いっつも学校の課題しに来てたの知ってるから」

「よく見てらっしゃいますね。平日は学校終わりの一時間程度しか行ってないんですけど」

「何度も来てる人は覚えるようにしてるのよ。顔と名前と好みの傾向とかね」

「へぇ、すごいですね！」

ただ貸し出し・返却の手続きとか探し物のお手伝いをするだけではないのだと気づかされた。

利用者の立場からは分からない苦労とかもあるんだろう。

もちろんそれはどんな職業にだってあるだろうが、こうやって話を聞かないと気づけないことだ。

プライベートで話を聞けるなんてそうそうない機会を無駄にしないように会話を続けていった。