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おじさんを手で払いながら、モンゴメリを睨みつける敦の背中を眺める。
さっきまでの弱気な敦とは違う敦だ。
「お話は終わり?やる気は戻ったかしら。
そうでなくちゃ面白くないわ。
でも終わりよ」
「敦!!」
私はいつの間にか咄嗟に叫んでいた。
床からアンが出てきたのだ。
谷崎さんを捕らえた、あの光景が思い出される。
敦は上へジャンプしたが、ジャンプした先には、もう一体のアンが待ち構えていた。
「もう一体!?」
「そちらは二人なのだから当然でしょ?」
アンは敦を掴む。
そして谷崎さんと同様無数の手によってドアに吸い込まれてしまった。
「そんな…敦迄……」
「はい。
おしまーい★」
両手を上げ、完全勝利した笑顔でモンゴメリは云った。
私は我慢出来ずにモンゴメリに近付く。
「組合って、敦を狙ってるんだよね?
ねぇ何でこんな事するの!?」
「あら、貴女。『落書きの娘』じゃない」
私は組合の人達からはそういう渾名で呼ばれているらしい。
許可なんてしてねーぞ。
てか今更かよ。
「そんなに心配なら、アンに躰を預けなさいよ。さっきの二人みたいに楽になれるわよ」
「うるせぇよ!さっさと二人を__」
私の言葉が喉に突っ掛かる。
アンに躰を掴まれたのだ。
躰中がミシミシいっても可笑しくない程の痛さが染み渡る。
「云ったわよね?
私は失敗する訳にはいかないの。
それで、おじさまはどうなさるの?」
モンゴメリがおじさんに近付いていく。
おじさんの表情は暗くて読み取れない。
いや、唯私の意識が遠のいて視界がボヤけているかもしれない。
「おじさまの言葉のおかげで虎の彼に逃げられずにすんだわ。
だから感謝の印に見逃してあげてもいいわよ。
どうせ捕まえる指示のないこきたない中年一人見逃したって、フィッツジェラルドさんは怒ったりしないもの。
それとも__。
おじさまがアンに捕まった時の絶望した顔を見てみようかしら」
絶望した顔をしろ、とでも云っているのか。
私を掴んでいる手に力が入り、苦しむ私の声が響き渡る。
すると、おじさんはフラッと顔を上げる。
だがそれも私は表情を読み取れなかった。
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2キング(プロフ) - 黒九尾*さん» 親の前でいきなり笑ったら凄い目で見られますよね…。私もよくやるので家族から変な人だと認識されてます←更新頑張ります!! (2017年3月12日 20時) (レス) id: 1ed813b825 (このIDを非表示/違反報告)
黒九尾*(プロフ) - メルヘンチックとリアルが全然違って親達の前で吹いてしまった、キャラ達との会話が物凄く面白いです!更新楽しみに待ってます♪ (2017年3月12日 19時) (レス) id: 5efd775a88 (このIDを非表示/違反報告)
2キング(プロフ) - ヲタク様さん» 閲覧ありがとうございます!こちらも引き続き見てくれてとても嬉しいです!応援宜しくお願いします。 (2016年12月26日 13時) (レス) id: 36a5dfc320 (このIDを非表示/違反報告)
ヲタク様(プロフ) - こんにちは!【元】『ミミミの松』です!見れました!凄く面白いです!これからも応援するので、頑張って下さい! (2016年12月18日 21時) (レス) id: 12cd453bfc (このIDを非表示/違反報告)
2キング - リビリンスさん» 有難うございます!乱歩さんが1番やり過ぎてる感じしてますよね……w私自身、乱歩がどうしてあそこまで行ったのか分かりません←←こんな作者ですが、これからも宜しく御願いします!! (2016年11月14日 16時) (レス) id: 09facf1319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2キング | 作成日時:2016年8月31日 14時