閑話 〜大きな半月〜 ページ7
その日は父さんに草原に連れて行かれた
何処だったのかはわからない
父さんについていったらいつの間にかそこにいた
「そこに座ってくれないか?今日はいい絵が描けそうなんだ」
『あんまり長い時間は無理だかんね』
あたしは月を見上げる
半月だというのにも関わらず大きかった
どのくらいの時間そうしていただろうか
まるで催眠にでもかかってしまったかのようにずっと月を見続けていた
「もういいぞ」
『え?』
「さぁ、帰ろう」
その時の父さんの表情は驚くほど優しくて
哀しくなった
「A、父さんが死んじゃっても父さんの絵を大切にしてくれよ?」
『は?まだ若いのにそんなこと言ったら老けるよ』
次の日、父さんはいなくなった
いつもはアトリエにいるはずなのにいつの間にか消えてた
本当に死んじゃったんじゃないかってすごく不安になったっけ
でも、2週間後に帰ってきた
どこに行ってたんだと聞きたくなるようなゴミみたいな異臭を放って手には絵を持っていた
その時、父さんは大きな手であたしの頭を撫でて言ったんだ
ただ一言
“ただいま”
バカって叫んだのを覚えてる
そして、父さんはポツリと呟いたんだ
“少し疲れたな……眠らせてくれ…………”
父さんが倒れた
いくら叫んで揺すっても起きてくれなくて
挙句の果てにビンタまでした
でも父さんはその笑顔のまま起きてくれなかった
バカみたいに泣いて泣いて泣いて泣きまくって
それでも涙は枯れなくて声になってない叫び声を上げた
(自分が父さんを殺したんじゃないか)
(何故かそう思えてならなかった)
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Sayura(プロフ) - イチゴさん» ありがとうございます!公開はもう少し先になるかと思いますが、こちらこそよろしくお願いします(^○^) (2015年7月22日 12時) (レス) id: 44ff7cdde6 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - Sayuraさん» 本当ですか!?とても嬉しいです。ありがとうございます(#^^#) (2015年7月22日 11時) (レス) id: 5e3eaf3038 (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - 初めまして、Sayuraと言います。とても面白いと思ったのでこの作品を私の小説で紹介したいのですが、いいでしょうか?嫌だったらすみません。更新楽しみにしてます^ ^ (2015年7月22日 11時) (レス) id: 44ff7cdde6 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - ミックさん» イメージ的にはそうですが、歌詞とは違いますよ (2015年2月5日 17時) (レス) id: 8ed85f4658 (このIDを非表示/違反報告)
ミック - あの・・タイトル『サクラミツツキ』っていう曲をパクってますか? (2015年2月5日 17時) (レス) id: 898fb53a0d (このIDを非表示/違反報告)
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