閑話 〜近づけない〜 ページ44
パン４つを全て平らげたのを見て男は言った
「ねぇ、絵のモデルになってくれないかい？」
「絵？」
「うん。大切な人のために絵を描きたいんだ」
「構わないが、こんなところの絵でいいのか？ゴミだらけだ」
「いいんだよ。だって……」
男は空を指さす
「あんなに綺麗な月が昇っているじゃないか」
つられて空を見上げてみれば半月が堂々と輝いていた
満月でないのにも関わらず、圧倒的な存在感
さっきまで月など見えていただろうか
思わず見惚れてしまう
「座ってくれているだけでいい。お願いできるか？」
「あぁ」
ゆっくりと流れるように時は過ぎてゆく
催眠にでもかかってしまったみたいだった
「ありがとう。もういいよ」
声をかけられてハッとする
「じゃあ……バイバイ」
男は歩いていく
その場には絵具の匂いだけが残っていた
空を再び見上げてみれば雲がかかっていて月は隠れてしまっていた
「不思議なヤツだ……」
アジトに戻るとするか
腹も満たされたしな
ザァッと風が吹いてゴミが巻き上がる
ゴミの匂いに紛れて絵具の匂いが鼻を掠めた
(あんな笑顔を見たのは初めてだ)
(それはきっと近づくことのできない世界にあるモノ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sayura(プロフ) - イチゴさん» ありがとうございます！公開はもう少し先になるかと思いますが、こちらこそよろしくお願いします(^○^) (2015年7月22日 12時) (
レス) id: 44ff7cdde6 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - Sayuraさん» 本当ですか！？とても嬉しいです。ありがとうございます(#^^#) (2015年7月22日 11時) (レス) id: 5e3eaf3038 (このIDを非表示/違反報告)
Sayura(プロフ) - 初めまして、Sayuraと言います。とても面白いと思ったのでこの作品を私の小説で紹介したいのですが、いいでしょうか？嫌だったらすみません。更新楽しみにしてます^ ^ (2015年7月22日 11時) (レス) id: 44ff7cdde6 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - ミックさん» イメージ的にはそうですが、歌詞とは違いますよ (2015年2月5日 17時) (レス) id: 8ed85f4658 (このIDを非表示/違反報告)
ミック - あの・・タイトル『サクラミツツキ』っていう曲をパクってますか？ (2015年2月5日 17時) (レス) id: 898fb53a0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
