欠けた月の残りを探して

任せろ ページ42

「オレが帰れるかもしれない可能性を見つけた」


あぁ、当たってしまった


『うん、それは何なの？』

「お前だ」

『……は？』

「お前が絵を描いてるとき、オーラが見えた。この世界に“念”という定義はないが父親の影響でお前は念を使えるらしい」

『え、ちょっと待って。どーゆーこと？』


あたしが念を？

ありえないじゃん


『だって、あたし纏とか絶とか全然そういうの出来ないし……』

「いや、絶は出来ていたぞ」

『ウソ！？』

「今日、涼から逃げ回って隠れていただろう。その時に使っていた」

『マジか……』

「そこで頼みがある」

『頼み？』

「あぁ。絵を描いてくれ。もちろん、念を込めて」

『“アンタが帰れますように”って？いいけど時間かかっちゃうかも』

「構わない」

『んじゃ、その依頼請け負ったよ』


絵に籠める想いは１つだけ

その他の感情は入れてはならない


『任せろ！』


こうなったらやるっきゃない

絵を描いてやる


まずは何描くか決めなきゃね



今は恐怖よりも手が疼く感情に身を任せたい



すっごいワクワクしている自分がいた



(さっきまでの恐怖はどこに行ったのだろう)

(今は別の感情があたしを支配している)

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