蝶は蜘蛛を喰らう ページ6
「可愛い可愛いボウヤ。早うこちらにおいでなさい」
ふらふらとカルトはその声に誘われた。その場を満たす甘い香りが彼を酔わせていたのだ
ひらひらと振られている手はまるで白い蝶のようだ。それに誘われて催眠にかかったようにカルトの瞳は徐々に虚ろになってゆく
「ボウヤ、ボウヤ、いい子だね。いい子なおまえは何が欲しい？」
力が欲しい、と呟いた。もっと、もっと、もっと。団長をも凌ぐような、力
それがあったらキル兄さまは僕のことを見て褒めてくれるのだろう。アルカなんか見捨てて、僕の頭を撫でてくれるだろう
そのやり方でAはクロロを今まで惹きつけてきた
彼女は団長の見ている傍で目まぐるしく成長してきた。だから、今まで捨てられずに済んだのだ
僕もそうすればいい。そうすれば、キル兄さまの心は僕のものになる
「そうかい……じゃあ、あの命をボウヤが取れればいいんだね？」
本来なら目の前に立ってこんな言葉を吐く旅館の女将に不信感を抱くカルトだったが、その時だけはなぜか頷いてしまった。温かい声音に考える力が溶けていく
――――そうだ。クロロさえ殺せれば
もちろん簡単なことではないだろう。途中でAの妨害も絶対に入る。でも、なぜか出来るように思えてしまうのだ
「あの黒い子供を此処に連れて来るんだよ……そうすればきっとボウヤは強くなれるからねぇ…………」
皺が刻まれた手が頭を撫でる。ずっと求めていたその温もりにカルトは完全に堕ちた
この人に従っていればいいような気がした。そうすれば求めていたものが全て手に入る
「クロロ＝ルシルフルを殺せばおまえは皆に見てもらえるよ」
その言葉に虚ろな瞳をしたカルトは力なく頷いたのだった
――――此処は私の土地なんだ。全ては思うがままに
口の端を歪ませて老婆はほくそ笑む
その隣では相変わらずの若苗色で輝いている石があった
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RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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