犠牲に犠牲を重ねて ページ42
「キミってばそのやり方は嫌いじゃなかったっけ」
『うん、大嫌い。でも、こうでもしないと蜘蛛に不利益が生じちゃう。カルトは幼すぎるんだよ』
「だからオレの針を使って洗脳、か。高くつくよ」
『いくらでも払うっての』
笑って見せればうんざりしたようにイルミは髪を掻き上げた。溜息を吐いてから彼は立ち上がる
「……どんな念を籠める？」
『１、クロロに手を出さないこと。２、蜘蛛に歯向かないこと。３、カルトの中にあるキルアの記憶を全て消すこと』
「いいけど３つの条件を籠めるならそれなりに時間がかかる。この旅館を出る時にカルトを気絶させた状態で連れてきて」
『わかった。迷惑かけるね』
「いいよ、元はと言えばアレがキミ達のところに入ったこと自体が間違いだった」
イルミは珍しく目を細めて不機嫌そうにする。その横顔を見ながらあたしは静かに頷いた
「なんでゾルディックにキル以外の命が生まれたんだろう」
『そりゃあ、アンタ達の親がハッスルして』
「オレやミルが生まれたのはまだ分かる。でも、キルから後の子は産まれてくる必要がなかった」
キルアの後に産まれた子供。宿された胎児。アルカにカルトだ。確かに彼らは産まれてくる必要がなかったのかもしれない
その結果、１人はその能力故に封印されていた
もう１人は「ちゃん」づけをされて女装をしている
『……それでも存在してるんだからしょうがない。それに関わりを持ってるあたしもアンタも、受け入れるしかないんだ。歪な形のあの子らを』
「歪、か。じゃあキル以外の兄弟はみんな歪んでる」
イルミは忌み嫌うはずの黒色をした髪を伸ばし続け
ミルキは現実から二次元に希望を見出し
カルトは異常なまでに愛を欲しがり
アルカはキルアが世界の全て
どれもが歪んでどれもが正しくなろうとした結果なのだろう
『一番の間違いはあの子らに愛を与えてしまったことだよ。愛さえなければみんな歪むことはなかった』
愛は人を狂わせる。愛に飢えた人間が温もりを知ってしまったら、それはもう麻薬と同じで手放せないものなのだ
『だから消すんだよ。カルトの愛の記憶を』
それはどれだけ残酷なことだろうか。あたしからクロロの記憶が消えてしまうのと同じだ
でもあたしはやると決めた。カルトとクロロならば、クロロの方があたしは大切だ
好きなだけ罵ってくれてもいい
あたしはクロロさえいればいいんだから
そう告げるとイルミは力なく微笑んで目を瞑った
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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