きっと新しいんだ ページ37
『クロロ！』
森の中にある泉のほとり。緑と水しかないはずのその空間には今、血の匂いが広がっていた
「Aか」
『えっと、レロレロ？』
「レオリオだ！っと、今はそんな暇じゃねぇな。ゴンとキルアは薬草を採りに行ってる。お前はここでクロロを励ましていてくれ」
『あたし、できることないの？』
「……手を握るだけでいいんだ。それだけで、きっと何かが救われる」
『そんなんじゃダメなの』
内側で声が響く
――――あたしなら治せる。あたしには出来て、アンタには出来ないことがある
あたしには力がない。でもクロロを治す力が、“大きいあたし”にはある
――――アンタはどうしようもなく弱いんだ。でも、あたしなら出来る
全身が痛くて痛くて、泣きたかった。でも泣いたら何かが喪われる、と本能で悟る
――――もう、十分なはずだ。子供の頃に与えられた痛みに代わる愛情を、アンタは確かに受け取った。クロロから与えられたもの以上を
だって、戻っちゃったらあたしはあたしじゃなくなる。喪う痛みを知らなくて良かったものを
『でも、あなたも無くしちゃったんだ』
それが誰だかはわからない。でも、あたしより何倍も強いあなたですら、失った人がいる
――――だから、もう無くさないんだよ。アンタはあたしの中に戻るべきなんだ。そうしたらクロロが助かる
あたしがあたしでなくなる。それは、とても怖い。怖くて怖くて、もうこの“あたし”は二度とクロロに会えないんだ
でも、クロロの死に比べたら、こんな恐怖。あたしの存在など、クロロを護れない存在など、捨ててもいい
『バイバイ、クロロ』
あなたのことは“大きいあたし”が助けてくれる。絶対に助ける
バイバイ、あたし
全身が熱を持って、内側から焦がされる。意識が溶けて別の物になっていくのが分かる
小さかった手も、非力な足も、全てが力強いものになっていく。クロロを護るために鍛えたものが戻ってくる
あたしがあたしに為る。小さかったあたしが、過ごさなかったはずの時間を過ごしたあたしがあたしに溶けて、混ざり合った“あたし”は前とはちょっとだけ違う存在かもしれない
ゆっくりと目を開ける。血塗れのクロロを見て、その傷口にそっと手を当てた
『治癒の炎(ファイヤーリカバリィ)』
傷口が広がる。流れ続けていた血が、破れた血管が繋がって元あるべきものに治っていく
『おはよう』
懐かしい顔つきをした彼が、あたしを見た
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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