やはり救いは死なワケで ページ35
『……だぁれ？なんでないてるの？』
泣き終えたカルトが顔をあげたとき、Aはもう幼くなっていた
途方に暮れたような顔の彼女を見たら罪悪感が込み上げてきた
あんなに強いAが無理矢理忘れた過去。それをほじくり返して、その恐怖に怯えさせたのはボクだ。彼女の欲につけ込んで、彼女がボクのことを信用しているということを利用して、あまつさえAの何よりも大切な人を殺そうとした
『いたいのいたいのとんでけー！』
違うんだ、と叫びたかった。違う。痛い思いをしたのは、怖い思いをしたのはキミなんだ
今すぐ全てをこの子に話して許しを乞いたい。しかしそれが出来ないのは分かっている
「クロロのところに、行こう。そしてあなたがボクを殺すんだ」
『ころす、ってなに？』
「人を死なせること」
『おしえてくれて、ありがとう』
屈託のない笑みでこちらを見上げてくるA
「クロロをボクは殺しかけた。結果的に、あの人は大怪我をした」
――――瞬間、その場からAが消え去った
目の前にいたはずの彼女がいなくなっている。周りを見渡すと既に１００メートルくらい先に走っている彼女が見えた
「そっちはダメだ！」
きっとクロロのところに、旅館に向かっているつもりなのだろうがそちらは正反対の方向。つまり、このまま走り続ければ敷地内から出てしまう
石に封じ込めたAの時間。人の時間を封じ込めるための制約は“距離”だと女将に教えてもらった
今はまだ封じ込めているだけだが、石から離れすぎたら、つまり敷地の外に出てしまったら彼女の時間は永遠に石の物になってしまう
残るのはAの骸だけだ
「クロロはそっちじゃない！」
大声でそう叫んでもまるで彼女は聞こえていないようだった。きっとクロロのことにしか興味がないのだろう
全力で走ってもその差は僅かに縮まるだけで、追いつけそうにない
小さい体だから身体能力はそう高いはずではないのに。まさか、また元のAに戻りつつあるのか
木々の隙間が大きくなる。森が、もうすぐ終わる
この森から出たら彼女は死んでしまう。ボクのせいで、Aが
「A！」
光が強くなる。絶望の明るい輝き
「そっちはダメなんだ。死ぬんだ！」
そう叫んだ瞬間にナイフが頬を掠めた。一拍遅れて皮膚が裂け、血が流れる
次に飛んできたナイフで着物の裾が木に止められた。続いて４発
瞳がボクに対する殺意を物語っていた
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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