空気に溶けた執着心 ページ33
紙切れがカルトの周りを舞ったかと思えば、風を斬ってこちらに向かって来る
頬や服の袖が切れ、血が飛び散る。しかしダメージはあまりない
だとすれば、と思って彼の懐に飛び込む。しかし同時に彼の唇の端が捲れ上がったのがわかった
「蛇咬の舞」
大量の紙吹雪がまるで槍のように腹を貫いていった
念で強化されたそれらは恐ろしいほどに切れ味がいい
「かっ……」
「もうすぐ……ああ、キル兄さま」
恍惚したような笑みでこちらを見下ろしてくる彼は、幸せそうで、泣きそうだった
オレはまだ死ねないのに。だって、まだAがいる。あいつを遺して死んだら、確実にAは死んでしまう
なんとか立ち上がろうとしたところを踏みつけられた。鈍い痛みに脳が麻痺する
本当に、オレは死ぬんだ。あいつをこの世界に残して。あいつの知らない場所で
覚悟をして目を閉じる。瞼の裏に広がった闇はまるで絶望を表しているようだった
「カルト」
その時、低い男の声が響いた。目をこじ開けてそちらの方を見れば、どこかで見たことのある長髪の男が立っている
「……イル兄さま」
「今すぐその死にかけから離れろ」
「イル兄さま、見てください。ボクはクロロを殺せるんです。ねぇ、兄さま。ボクを見て」
「早くしろ。別にオレはお前のことを殺したっていいんだよ？」
無機質な瞳にカルトは映っていない
それを知ってしまった時、カルトの中の何かが壊れた
――――ああ、結局、ボクは、透明なんだ。何をしても
だったらこんな命いらないや。ああ、でもやっぱりキル兄さまの記憶には残りたい
『クロロ！』
イルミの陰からAが飛び出してきた。ほら、Aだってボクのことなんか見てない。視界にすら入れてない
『イルミ。クロロ、たすけて』
「はいはい」
軽々しくクロロの身体を持ち上げたイルミは彼を肩に担いだ
その場に残ったのはボクとAだけ
『カルト』
「……ボクが許せないんでしょう？じゃあ殺してくださいよ。キル兄さまをこの場に呼んで、キル兄さまの目の前で！ボクの血が兄さまにかかるくらい近くで！！』
もうそれしか方法がない。その方法でしかボクは見てもらえない
何故か震えている自分を自分で抱きしめる
だって、この身体を抱きしめてくれる人なんて、何処にもいない
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！三年も書いていたんですね！このシリーズ大好きです！ (2018年9月3日 23時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
rua - ちょ〜〜面白いです。 また新しい作品楽しみにしてます。 応援してます！ (2016年10月28日 15時) (レス) id: ce0d20423e (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ(プロフ) - アスカさん» とりあえずは完結させようと思っていたところまで物語を書き、そこから繋げて行こうと思っています (2016年4月25日 18時) (レス) id: e736e9b02c (このIDを非表示/違反報告)
アスカ - 夢主vs女が楽しみすぎる！！ところで、本誌の番外編と言うのは予定通り作品を完結させてから別枠で書くのか、作品に組み込ませて書くのか決まってましたら教えていただけますか？ (2016年4月25日 0時) (レス) id: 62f7d68aec (このIDを非表示/違反報告)
藍琉 - はははっw某戦略シュミレーションゲームのうちの初期刀と同じかーwそういやちゃんとした意味は調べたことないなー…まじかよ(何個か特徴当てはまる)…かもしれないです。カルト…！！(ノД`)°。 (2016年4月20日 23時) (レス) id: 97ccf20f00 (このIDを非表示/違反報告)
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